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07 メイドさんの手料理、恋のリベンジ

「…どうゆうことだ」


まさか、こんなことを言われるとは…。


 こんなにも充実な日々を奪われてたまるか。

何としてでも阻止せねば。


「何故だ、俺が何かしたか?」


「お前は大罪を犯した」


大罪だと…。


「お前は欲望に正直すぎる。ワシは全てを見ていた」


「貴様ッ!見ていたのか!」


「その反応は…。何かあったな?」


こいつ、俺を嵌めたのか。


落ち着け。何か手はあるさ。


「あぁ…。まあ、あったな」


ここは正直に言おう。何とかなるさ。


「『女の子の体をじっくり見てしましました』とかじゃろ?」


「何故、それを!?」


この老人に見られているのか?


「ワシは他にもお前と同じような人間を5万人と見てきた」


「説明しろ」


どうゆうことだ…。


あの世界の転生者は俺一人のはず。


「ワシの仕事は死んだ若者を異世界転生させ、現世に戻すことだ」


「しかし、あの世界では転生者は俺だけだ」


「世界というのは沢山あのじゃ。ワシが知っているだけでも30万だ」


まさか、そんなにもあるとは…。


「今いる世界には、お前と同じような人間が”7人”居る」


「そうだったのか…。」


「ところで、異世界に連れ戻す件じゃが」


「そうだ、そのことについて聞きたかった」


「まあ、さっきのは冗談じゃ。だが…。」


どうやら、本当に連れ戻すわけではなさそうだ。


これには安心した。


「この世界で深刻な問題起こせば本当に連れ戻す」


「あんたの目的は何だ?」


そうだ、こんなに大金を与え、土地も与えたのだ。


何かがあるはずだ。


「簡単には研究じゃ」


「何の研究だ!」


「じゃあの」


「ま…」


電話が切れた。


それから、何度も電話をかけたが、繋がらなかった。


疑問だけを残し、逃げたのだ。




「だ、大丈夫ですか?」


「あぁ…。大丈夫だよ」


 俺の事情でアイナに心配をかけるわけにはいかないな。

これからは気を付けよう。


それからは何も考えずに携帯を眺めていた。


「ご主人様。何か悩み事でも?」


「まあね、気にしなくていいよ」


「私に何かできることがありましたら、言ってくださいね」


アイナは可愛くウインクした。


彼女を見ると、少し元気になった。


「そうだ、まだ君の部屋を言ってなかったね」


「私の部屋があるんですか?」


「こっちに来て」


そう言い、リビングの端に向かう。


「ここにボタンがあるだろう?」


壁にボタンがある。


このボタンを押した。


次の瞬間、天井の一部が開いて、梯子が現れた。


「屋根裏部屋さ」


「おお~いいですね」


 まさか、小学生の頃、憧れていた屋根裏部屋があるとは。

この部屋については、この間に行った部屋探索でたまたま見つけたものだ。


梯子を上り、部屋に向かった。




 中はベットと少しの収納があるだけのシンプルな部屋だ。


天井は半分ぐらいである。


「夢にまで見ていた自分の部屋が…。ありがとうございます!」


「まあ、好きに使っていいよ」


それから、この部屋について少し教えた。


「疲れただろう。寝てていいよ」


「分かりました。私は少し寝ます」


「おやすみ~」


「おやすみなさい」


梯子を降り、リビングに着いた。




 それから4時間後。午後6時30分。


「おはようございます。ご主人様」


アイナがリビングに降りてきた。


「昼寝はどうだった?」


「気持ち良かったです」


 それは良かった。

アイナの幸せは俺の幸せでもあるからな。


「夕飯はどうしますか?」


「じゃあ、アイナに作ってもらおうかな」


やっと、メイドさんの手料理が食べられる。


 アイナの作るものならゴキブリの唐揚げでも食べられると思う。

まあ、それは無いだろうけど。


「食材買ってきますね」


「もう暗いから、僕も一緒に行くよ」




 俺たちは近くにスーパーに向かう。


「ご主人様は何が好きですか?」


「う~ん、豚カツかな」


「では、今日は豚カツですね」


「ありがとう。アイナの豚カツが楽しみだよ」


「はい! 楽しみにしててください!」


アイナは笑顔でそう言った。


この笑顔なら何時間でも見ていられる。




 そんな会話をしている間にスーパーに着いた。


「すみません。よかったらお菓子とか買ってもいいですか?」


「別にいいよ。但し300円以内でね」


「ありがとうございます。私、お菓子を食べたことがなくて」


 そうか、アイナは過酷な環境で育ったから食べたことが無いのか。

それなら、もう少し買ってやるか。


しかし、可愛いからといって甘やかしてはいけない。


アイナの顔を眺める。


「よし、好きなだけ買っていいぞ!」


やっぱり、この可愛さは反則だろ。


それから、必要な食材とお菓子を買って、買い物を終えた。


「よかったのか?ポテトチップスと板チョコだけで?」


これだけだと180円程度だ。


「いいんですよ。お菓子の食べ過ぎは良くないと、習いましたから」


「アイナは真面目だな」


アイナの髪を撫でる。


撫でていると、シャンプーのいい匂いがした。


「えへへ、そんなことないですよ」


照れながら、そう答えた。


この可愛い生物は何なんだ!?




 家に着き、リビングに入る。


「では、部屋で待ってください」


「何でだい?」


「他にも作るので、お楽しみにしててください」


「分かった。楽しみにしておくよ」



 部屋で携帯ゲームをしながら待っていると。


「ご主人様。出来ました」


待ってました!


アイナの声が聞こえた瞬間、部屋を飛び出た。




 机の上には豚カツに白ご飯、さらに味噌汁がある。


「ど、どうでしょうか?」


「うん、とても美味しそうだよ」


素早く、椅子に座った。


「いただきます」


まずは、豚カツから食べる。


「!?」


なんだ、この味は!?


サクッとした衣、口に広がる肉汁。


味噌汁も飲んでみる。


これも美味い。適度な塩辛さだ。


なんだろう、どこか懐かしい味だな。


やばい、ご飯が止まらない。


「では、私もいただきます」




 あまりの美味しさに、すぐに完食してしまった。


「美味しかったですか?」


「うん、最高だったよ。これからもよろしくね」


「はい! よろしくお願いします!」


 これからも、この美味しい料理が食べられるなんて。

俺は幸せ者だな。




 ポケットから振動がした。


 携帯を見てみると。

ダークアラン3世からだ。


「もしもし、どうかしたか?」


「考えましたよ。エリンとのデートプラン」


 しまった。アイナの可愛さでエリンを忘れるところだった。


危ない、危ない。


「そんなことを頼んだ覚えはない」


「まあ、いいじゃないですか」


「で、それはいつだ?」


「明日です。詳しい内容は携帯に送ったファイルをご覧ください」


「ちょっ、それは早いって!」


切られた。


いくらなんでも、早すぎる。


しかし、恋のリベンジができるなら。


今度こそはあんなようにならないように。


はあ…。やるしかないよな。


こうして、恋のリベンジが始まった。




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