02 最底辺から始まる高校生活
不良との戦闘から4時間後。
既に日は暮れていたが、新居の前に着いた。
外見は白で正四角形、二階は無さそうだ。
必要な物は既に用意されているらしい。
早速、新居に入る。
入る方法は指紋認証らしい。
人差し指を認証画面に当てる。
いとも簡単に扉が開いた。
全身真っ白だったので扉が分かりづらいな。
中に入ってみると玄関があった。
300年経った今でも日本では靴を脱ぐらしい。
なので、靴を脱ぎ玄関に置いた。
前にあった扉を開けるとリビングがあった。
広さは十畳ほどでキッチンや冷蔵庫、さらに机や椅子、テレビらしき物がある。
他にも部屋を確認してみると。
風呂やトイレもあり。あとはもう一つ6畳ほどの部屋もあった。
とりあえず冷蔵庫を開けてみると、中にはちくわがあった。
何故、ちくわなのだろうか。
そんなことを考えていると、ポケットから携帯の着信音が鳴った。
この時代の携帯は自由に形を変えられる。
俺の場合は薄いスマートフォン型にしている。
「はい、岡野です」
「ワシじゃ、そっちはどうじゃ」
「なんだ、貴方でしたか。 ちょっと問題がありましたが大丈夫です」
「この時代の者は強いからのう」
それを早く言ってくれよ…。
「明日から学校だからな。 忘れるんじゃないぞ」
「はい、大丈夫ですよ」
「必要な物はリビングにある箱に入っているからな。じゃあの」
そういえばリビングに大きな箱があったな。
箱を開けてみると、中には鞄と説明書が入っていた。
説明書には
『この鞄には教科書程度の物なら何でも入ります。by神」
そう書いていた。
これが本当ならすごいな。
ふと、時計を見てみると。
既に8時を超えていた。
お腹がすいたのだが、体がだるくて外に出る気が無い。
治療魔法で顔の傷は完治したが、やる気が起きない。
仕方がなく、冷蔵庫にあったちくわを全て食べた。
風呂に入れば少しは疲れが抜けるだろうと思い、風呂を沸かした。
流石300年後の世界だ、2分で浴槽に湯が溜まった。
15分ほど風呂に入ったおかげで少しは元気が出た。
明日は早いだろうと思い、布団を出した。
何故、布団かというと俺がリクエストしたからだ。
やはり、布団が一番落ち着く。
あと、もう一つの部屋を寝室にすることにした。
しかし、この世界の生活も悪くない。
300年前は兄と同じ部屋だったが兄に8割近く取られていた。
今ではそれも良い思い出だ。
300年も経ったからな。もう、俺の知っている家族は居ないだろう。
異世界に居た頃は寮生活で一人部屋だったが謎の轟音と異臭で苦しんだな。
実はすぐ近くに馬小屋があったのだ。
そんなことを考えていると、いつの間にか寝ていた。
俺は起床した。時計を見ると、まだ6時30分だ。
出発するのは7時50分の予定だが。
特にやる事も無い、朝飯も作れない。
なので、テレビの電源を押した。
この時代のテレビは超薄型で、高音質だった。
しかし、番組は退屈だ。
天気予報も無い。何故ならこの世界は常に晴れだからだ。
さらに、気温もあまり変化しない。
快適に過ごせるのはいいが、変化が無いというのは虚しい。
そんなことを考えていると、既に7時35分。
急いで着替えて、家を出発した。
何とか学校に着いた。
魔法の名門校『アレクシス魔法学園』。
この学校はS~Gランクまで幅広いクラスがある。
勿論、俺は異世界最強の異能力使い。
目指すはSランクのみ。
異能力も魔法も名前は違うが、似たようなものだ。
実は異能力使いは魔法も使えるのだ。
既に何人もの生徒が並んでいた。
これはランクを決める検査を待っているのだ。
まずは体内にある魔法値でランクを決めるらしい。
因みに俺の魔法値は50000000。
俺が居た異世界の平均値は200~1400。
これ程平均を超えている俺ならいける。
そう思っていたのだが…。
ようやく、俺の番が来た。
検査といっても台に立つだけでいいのだ。
なので、僅か10秒で終わった。
一人の女性が近づいてきた。
「岡野さんの魔法値は50000000です」
「でっ? 俺のランクは?」
「Sランクですが…」
「ですが?」
「この魔法値の波長はどれにも該当しないものです」
まあ、俺の魔法は『開発魔法』じゃないからな。
「よって、Gランクです。 もし、この魔法値を説明できるならSランクです」
そうきたか…。しかし、自分自身もこの魔法はよく分からない。
「私は異世界で手に入れた”本物の魔法”を使うんですよ。 そして、神のおかげで今ここに居ます」
「では、それを証明してください」
「私は312歳です。普通なら死んでいます」
何を言っているんだ俺は…。
「貴方は2303年生まれですよね?」
そういえば、あの老人が「お前は混乱を避けるために2303年生まれにしておいた」
とか、言ってたな。
「すみません。僕は2303年生まれです」
「それでよろしい。では、貴方を校舎に転送します」
こうして、俺の最低ランクからの高校生活が始まった。