19 学校遠足inロシア 2
1年3組Gコースが乗る旅客機Gー333は最高時速マッハ5である。
そんな速度にも耐えられるのが2318年の飛行機。
司が居た時代とは桁が違うのだ。
司はあまりの速さに吐きそうになっていたが、次第に慣れていた。
(しかし、暇だな~)
隣には影下地味子というクラスメイトが居るのだが、彼女にはコミュニケーション能力という文字が見当たらない。
まあ俺も何度かは話しかけてみたんだけど「話しかけんなぶっ殺すぞ」と言わんばかりの殺気を放ってくるんだよ。
これは無理ゲーですな。
あまりの暗さに耐えれなくなった司はここから離れることにした。
「俺、広場の方行ってくる」
「………」
問題ないはないだろう。一応相手はしてやったんだからな。
こいつにとって俺は邪魔なんだろうし。
司は広場に入る。
そこにはカタカナの「コ」のようなソファーに丸い机がある組み合わせが何組かあった。
その中のひとつにたかしと3人の男がいた。
それぞれ赤、黄色、青の髪の毛をしている。信号機かよ。
「お~いたかし」
「なんだよ司。地味子はきつかったか?」
きついとかそういう次元じゃなかったがな。
「お!エリンのボーイフレンドじゃん」
「えっ!?マジ!?」
「こんな奴がか?」
3人の男が俺について話している。
こいつらはたかしの友人だろうか。
「こいつはエリンのボーイフレンドなんかじゃねぇよ」
そうだたかし、ナイスフォローだ。
「で?なんか用か?」
赤髪の男が話しかけてきた。
「まあ~地味子から逃げてきたんだよ」
「あ~アレか。アレは確かにやべぇな」
金髪は明らかに地味子の恐怖を知っていた。
「まぁまぁ司くんも座りなよ」
青髪の男がそう言ったので、隣に座ることにした。
「僕は小島。よろしく」
青髪の名は小島というらしい。
「俺は友村。司だっけ?まあ、よろ」
金髪は友村という名なのか。
「俺は牧野。気軽にマッキーとでも呼んでくれ」
赤髪は牧野。あだ名はマッキーというのか。
「みんな知っているみたいけど司だ。よろぴく~」
「なんだよその挨拶。面白いな」
どうやら友村には受けたらしい。
ドカン!
「な、なんだァ!?」
「オチチチチチチチチ…ツケヨオオオ!」
「しっかりしろマッキー!」
おいおい爆発とか最悪だな。
これってアレだろハイジャックされたとかだろ?
小学生の時、そういうの妄想したな…。
そんな考えていたら扉から全身真っ黒の輩が2人入ってきた。
「動くな!こいつで撃つぞ!」
そう言いながら銃をこちらに向けてきた。
「お前らここは俺がやる」
そう言い、マッキーが立ち上がった。
「や、やめろよマッキー」
小島が止めようとしたのだが…。
「止めるなお前ら。俺がアイツらを倒す」
「仕方ない手伝ってやろう」
このクラス最強の俺が立ち上がる。
「司、手負いにはなるなよ!」
「行くぞ!マッキー!」
俺とマッキーの2人がハイジャック犯の方へ向かう。
「うわ!なんだこいつら!」
ヤツらがこちらに気づいた。
しかし、銃ごときでは俺"は"倒せない。
「へへへ!俺は紅蓮の魔術師牧野!銃など恐れぬ」
「おい馬鹿!避けろ!」
ドドドドドド!
鳴り響く銃声。
俺は華麗なる判断で伏せて、凌いだが…。
「あ…嘘だろ…」
マッキー体から血を流している。
「や、やべぇ撃っちまった!」
撃ってしまったことに動揺しているハイジャック犯。
「何やってんだよ!人質にするんだよ馬鹿が」
おいおい、マジかよこんなとこでご退場かよ。
あまりの呆気なさに俺は驚きを隠せなかった。
「ひひひ、ダメだ………」
そう言い、マッキーは倒れた。
あまりの衝撃で周りの皆は固まっていた。
「こうなったら全員殺すしかない!」
「うあああああ助けくれ!」
ハイジャック犯の一言に混乱するクラス。
(やべぇ…どうしよ)
とりあえず、右手に空銃を構成した。
「えぇぇい!みんな死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
正気ではないハイジャック犯の隙を捉えた。
今だ!
ハイジャック犯の頭に空銃を2発当てた。
「クソ!この餓鬼め!」
もう1人がこちらに銃を向けたがもう遅い。
バン!
「うげ………クソガキが……」
頭を撃たれたハイジャック犯は倒れた。
なんとかハイジャック犯は倒したが...。
周りは硬直していて目が死んでいた。
「そんな...マッキーが死んだ?」
絶望の目をしながら呟く小島。
そんな中、たかしが目の前にやって来た。
「なあ司、まだ終わってないぞ」
そう発言したたかし。
この時、まだ理解できなった言葉。
「おいおい侵入者は全員...」
たった数秒の出来事だった。
最悪な事態が起こったのは...。
ドオオオン! 鼓膜を抉るほどの爆音。
目が開けられないほどの光。
体を焼き尽くす熱。
その3つが同時に俺たちを襲った。
これは間違いなく、何者かによる襲撃。
先程のハイジャック犯に関係する組織の仕業。
ここまで考えるのに5秒。
そんな僅かな時間で炎は機体を覆い尽くす。
誰もが燃え尽きると思っていただろう。
しかし、燃え尽きる前に機体は遥か下の地上に叩きつけられた。
その時、世界の音が消えた。
同時に機体はバラバラに分解され、俺達は地上に放たれる。
(エリン...たかし...)
仲間を考えている時間もなく。
俺は白い世界に舞い降りた...。