17 赤い糸
「これ!ダメなやつじゃん!」
そう思ってからどれほど経っただろう…。
確かマグマが来て死んだはずの俺だが。
今は明るい光に包まれている。
そこには赤い糸が天から垂れ下がっている。
「これは…エリンとの赤い糸なのか」
これで生き返れるかもしれない。
そんな希望を抱き糸を掴む。
「い、いける…」
糸は見た目以上に強硬だった。
そんな糸を掴みながら、天に向かう。
俺はこんな所で…死ぬ男では…
ない!!!!!!
次の瞬間
「うわ!眩し!」
更なる光が俺を包み込む。
「死なないで!司!」
エリンが向こう…いや耳元に聞こえる。
これどうなってんの?
「は!死んだかと思った!」
「うわ!司くんが生き返った!」
横にはエリンが座っていた。
「ここは…病院?」
「う、うん。それより、司くん大丈夫?」
「あぁ…問題ない」
刺された時の痛みはもう無い。
しかし、
「胸の傷がない…?」
左胸を確認すると、そこに傷は無かった。
「あれは夢だったのか?」
「あの時、司くんが倒れてるのを見て驚いたよ」
「どんな感じだった?」
「なんか意識を失っている感じ。今でも原因不明だよ」
俺は刀で刺された。
そして死んだはずなのだが…。
「アイツは一体何者なんだ…」
「でもよかった。明日には退院できそうだね」
「それはよかった。」
まあ、病院生活は嫌だからな。
そして、翌日。
「ご主人様!大丈夫ですか?」
「司!3日も学校サボりやがって!」
そこにはアイナとダークアラン3世が居た。
「お前ら久しぶりだな」
「司くん。パパの車が来てるから行こ」
ここで俺はある違和感に気付く。
「なあ、アイナ。エレンはどこだ?」
「エレン?誰ですか?」
「おいおい。他のメイドも覚えておいてよ」
「メイドは私1人ですよ」
え?どういうこと?
エレンが居ない。
いや、元々居なかったのか?
「司くん。寝ぼけてるの?」
「司、メイドはアイナちゃん1人だろ?」
「そ、そうだったな」
「じゃあ、司くん家にレッツゴー!」
こうして僕らは車に乗り込んだ。
「これが司の豪邸。羨ましすぎる…」
「ごめん、先に捜し物があるんだ」
そう言い、家のクローゼットを確認した。
「エレンの服装が…ある」
やはり、あれは夢だったようだ。
「ご主人様、何を探しているのですか?」
気が付いたらアイナが後ろに居た。
「いや、なんでもないよ」
「ところでお客様は入れてもよかったのですか?」
「まあ、いいよ友達だし」
「おい!司!なんか菓子出せ!」
下からダークなんたらの声が聞こえた。
「うるせぇ!今から愛しのアイナが出してくれるぞ!」
「まあ、退院おめでとう司くん」
「明日から学校だがなリア充くん」
「そ、そうだったな」
俺達は今部屋でくつろいでいる。
「アイナちゃんこのお茶美味しいねー」
「あら、ありがとうエリン」
この2人はどうやら仲が良いようだ。
俺が寝ている間に仲良くなったのかな?
「そういえば~明日は遠足だな~」
ボリボリとクッキーをほおばりながらダークアラン3世が話した。
おーいボロボロ落ちてるぞ。
「ま、マジ!?」
「司くんは私たちと同じ班だよ」
「俺は水橋さんと同じ班がよかったな~こんなリア充が居たら俺が目立たないな~」
今日のこいつは何かと不満そうだな。
因みに水橋さんは学校一の美人のことだ。
「おい、ダー3」
「ダサい略し方は辞めろ」
しかし、こいつの名前は本当に長い。
いちいちフルネームで言うのは面倒だ。
「なあ、お前の本名でダークなんたらで合ってんの?」
「バーカ、学校では『たかし』だよ」
「そのダークなんたらと言っているのは司くんぐらいだよ」
「めちゃ普通じゃん」
「まあ、そっちの方が便利だからな」
「そうだ、司くん」
「なんだエリン。俺に惚れた?」
「ううん、それはない」
うわ、真顔で言われた。
たかしは冷たい目線で見てるし、やべーわ。
「遠足の班、地味子ちゃんも居るから」
「あ~地味子か」
地味子。本名は影下地味子。
なんか名前も見た目も暗いやつだ。
いつもクラスの端にいるやつという印象しかないがな。
「で、なんで俺たちのような美男美女(たかし除く)の班に?」
「うわ~司くんナルシかよ引くわー」
「エリンちゃん可愛い♡」
「うわ、ロリコンだ!通報しよ!」
「エリン、これでご主人様を警察に」
そう言い、アイナが携帯電話を出した。
「アイナまで!?」
というか、エリンって俺らと同じ高校生だろ。
「まあ、理由はですね…」
唐突ですね、はい。
「可哀想だったんで引き取ってあげました。」
「そうなのか~」
そう言い、紅茶を飲む。
「なので、司くん。相手してあげてください」
「ぶほぉ!」
口から出た紅茶がたかしに命中した。
「て、てめぇ!汚いだろ!」
「向かいに座っているお前が悪い」
ふぅ~危ない危ない。
口から飛び出すギリギリのところで標準をずらしたからな。
なんとかエリンにはかからなかった。
「ちくしょう、なんと理不尽な」
「じゃあ、私達は帰ります」
「そうだな」
「家まで送りましょうか?」
「別にいいよアイナちゃん」
「エリン~早く行こうぜ」
「じゃあねアイナちゃん」
「バーイ!エリン」
こうして2人は帰って行った。
「明日は遠足ですねご主人様」
「そうだな」
さて、準備でもしようかな…。
「しまった!遠足の準備聞いてねぇ!」
明日は楽しい遠足。
久しぶりに投稿できたー