16 地獄で無双してやろう! その2
「さて、どのキャラを選ぶべきか…」
格ゲー…というかゲーム自体あまり得意ではない。
それに比べ、相手は得意そうだ。
ゲームでは能力は役に立たない。
「残念ですね。ここであなたは負けるのです」
ふん、チビの癖に生意気だ。
「そして!一生この地獄ツアーで苦しむのです!」
この試練は負けると、また1からやり直しになる。
大半の者は数十年から数百年ここをループするらしい。
因みに、諦めた者は一生無限地獄で過ごす。
ひっ…怖い怖い。
「さあ!選ぶのです!」
「うるせぇ!今、選んでんだよ!」
俺はよく分からず、バランス型のキャラを選ぶ。
相手はパワー型を選んだ。
「では!ゲーマー太郎vs岡野司の戦い!」
ほう、このチビもやしはゲーマー太郎というのか。
フフフ、結構似合ってるな。
「開始!」
こうして、ゲームが始まった。
「では、いきますよ!」
相手はこちらに突っ込んできた。
パワー型なら攻撃しかできないはず。
(なら…!)
相手が攻撃範囲に入ってきたと同時に。
通常攻撃ボタンを連打した。
「くたばれッ!」
連打しながら相手を壁際に追い込む。
要するに、ハメ技だ。
「な、なんですか!それは!」
遂に相手を壁際に追い込んだ。
さあ、こちらのターンだ!
「やべぇ!なんか楽しい!」
攻撃してうちに相手のHPは徐々に減っていく。
「やばいです。やばいです。この人強いです」
チビが漁っているうちに、HPは0になっていた。
「1回戦!勝者!岡野司!」
なんか、勝ってしまった。
もしかして、このチビ弱いんじゃね?
それからも同じ戦法で2回戦、3回戦両方勝ち取った。
「3回戦終了!このゲームの勝者!岡野司!」
「お、おう…?」
まあ、勝ったし問題ないか。
しかし、異常に弱かったな。
「では、先にお進み下さい」
言われた通りに先へ進んだ。
ここにいた観客は呆然とこちらを見ていた。
そんなに凄かったかな?
「さあ!4回戦!」
「ここが4個目の試練だぜ」
案内役の青鬼はそう言った。
「ふーん、ここか」
目の前には大きな釜がある。
「でっ、ここで何をしたらいいんだ?」
「1時間、この釜の中に煮込まれるんだ。お前らは死んでるから問題ない」
極限の暑さに耐え続けろというわけか。
これなら、いい能力がある。
「さあ、お前も早く行け」
「分かった。説明ありがとな」
釜の頂上に向かう。
梯子を登り、頂上へ着いた。
「これから貴様らをここに叩き落とす!」
「い、嫌だ!来るんじゃない!」
「こんなの1時間も無理だろ」
周りから弱音が聞こえてきた。
(身体能力上昇!『耐熱』を使用!)
これならマグマでも耐え抜くことができる。
こんなの温泉みたいなものさ。
「さっさと行きやがれ!」
後ろから小鬼たちが現れ、俺たちを釜の中へ落とした。
さあ、第4の試練の始まりだ。
「「「ウア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」」」
周りは随分騒がしいな。
まあ、極熱の温泉を楽しんでな。
ドボン! 熱湯の中に落ちる。
そして、蓋を閉められた。
(うーん、何も感じないな)
「うがががが…」
周りではこの熱さに耐えれない者が大勢居た。
まあ、普通なら当たり前だがな。
しかし、何も感じない空間は暇だ。
(そうだ!耐熱を緩めよう)
そう思った瞬間、少し耐熱を緩めた。
(うん、いい湯加減だ)
これなら1時間、温泉に浸かっている気分で居られる。
いやー俺ってすげぇな。
そんな感じに過ごしていると、蓋が開いた。
(お!そろそろかな)
小鬼たちが熱湯の中に飛び込み、俺たちを上へ投げた。
「イテテ、もう少し優しく出せよ」
周りを見てみると、ぐったりしている者たちが居た。
「どうやら、今回はお前だけが耐え抜いたらしいな」
「マジっすか?」
青鬼は上下に首を振った。
「さあ、行きな。次で最後だ」
やっと、ここまで来た。
別に「やっと」というほど時間は経っていないが。
「さあ!見ていろよ閻魔ヤロー!」
最後の試練がある建物へ向かう。
「誰だ貴様は!」
建物の前には黒鬼が居た。
今までみた鬼の中では、1番恐ろしい。
「僕は岡野司」
「フムフム、ここまで辿り着いたのか」
「まあね、結構大変だったよ」
「そんな風には見えないな…」
まあ、能力のおかげでヌルゲーだったからな。
「まあ、いいだろう」
「この試練に挑んでいいのか?」
「勿論だ」
よし、これでこんなところから抜け出せる。
現世に帰ったら、いっぱい何かをするぞ!
「だが、ここは今までの試練でも最難関だ」
「間違いなく?」
「間違いなくだ」
まあ、今まででアレなら大丈夫だろう。
しかし、これが後のフラグと化する。
だが、今の彼には理解できない。
扉が開いた。
「さあ、行くがよい」
(最難関か…。どんな試練だろう)
こうして、最後の試練が始まった。
「うーん何も無いぞ?」
次の瞬間、扉が閉まった。
「うわ…。閉じ込められた」
光は一切無く、暗闇の中である。
罠があっても分からない。
「さっきから…上の方から熱気が…」
この時、この熱気の正体に気づいたのだ。
それと同時に、今居た場所から離れた。
「こ…これは!?」
頭上からマグマから落ちてきた。
同時に、灯りがついて通路が見えてくる。
(マグマから逃げろというわけか…)
予想は的中し、マグマはこちらに向かってきた。
「身体能力上昇!『疾走』を使用!」
迫り来る、マグマから逃げる。
しかし、この程度なら簡単だ。
でも、そう簡単にはいかないんだな。
前からもマグマが迫ってきた。
「これ!ダメなやつじゃん!」
絶体絶命の大ピンチ!
果たして、司の運命は!?
次回!『岡野死す』
(勝手に殺してんじゃねぇ!)