11 謎のライダーの登場、豪邸を手に入れる!?
ちくしょう!なんだよ!その称号は!
それじゃ、俺が馬鹿みたいではないか。
せめて、『一流異能力使い』にしてくれよ。
はあ…。死んでもこんなことしか考えられないのか。
あれ? 死んだら意識とかあるの?
今、目を閉じているいるような気がするんだが。
まあ、少し開けてみるか。
恐る恐る、目を開けると。
そこには炎の壁は無かった。
(あれ、傷一つない…)
よく見ると、前には見知らぬ姿があった。
「私の炎をこんなにも簡単に…あり得ん」
目の前に居たそいつは黒いヘルメットを装着し、マントを着ていた。
ライダー(?)だろうか…。
多分、味方だろうな。
「まあ、ありがとうな」
お礼を言ってみたが、返事はない。
変な奴だな。
「……群…………」
何かを詠唱しているようだ。
しかし、うまく聞き取れない。
「この人間どもが!」
魔王の大きな拳がこちらに向かってきた。
それでも、そいつは動かない。
俺は目を閉じ、体を伏せた。
「うがッ!」
魔王が何かに攻撃されたようだ。
目を開けて、見てみると。
右肩から煙が上がっていた。
「なんだ…これは」
何かが上から降ってくる音がする。
そして、隕石が魔王に振ってくる。
それからも、隕石は降り続けていた。
隕石は魔王が小さくなったと同時に止んだ。
「あんた…一体」
しかし、ヤツは居なかった。
目の前には小さくなった魔王が炭のように黒くなっていた。
「こ…これは」
拘束されていた人々が目を覚ました。
どうやら、睡眠薬で眠らされていたようだ。
「すみません。今から縄を切りますので、じっとしててください」
縄をナイフで切っていった。
「もしかして、君が助けてくれたのかね」
一人のおじさんが話しかけてきた。
「あっ、はい…」
「さては、岡野くんだね?」
「そ、そうです」
「私はエリンの父親だよ」
この人がエリンのお父様だったのか。
確かに、髪の色が同じだしな。
「ところで、エリンはどこかな?」
「近くに居ると思いますので、呼んできます」
「助かるよ。あとで話をしよう」
話というのは、この建物のことだろうな。
まあ、承知の上だが。
近くの庭に居たエリンを連れて、お父様のところへ向かう。
「ところで、話とは?」
「ここじゃ話しづらいから。他の部屋に行こう」
こうして、エリンとともにお父様に案内された部屋に入った。
「さあ、座っていいよ」
「あっ、失礼します」
そう言い、席に座る。
周りを見渡すと様々な高級品がある。
今、座っている椅子や前にある机も高そうだ。
流石、貴族ってところだな。
「ところで、話とは?」
「君にお礼がしたいのだ」
「いや、別にいいですよ」
お礼などを貰うほどのことはしてないと思うのだが。
「私たちを強盗団から救ってくれたお礼だ」
「私がしたのは、その下っ端を倒しただけです」
「でも、私を体を張って守ってくれたのよ」
「それは本当か? 私の娘も守ってくれたのか?」
確かに、エリンは守ったな。
すごく痛かったけど。
「しかし、あのトップは誰が倒したんだ?」
「黒いヘルメットを装着した人です。私も誰かは知りません」
「黒いヘルメットか…」
「お礼ならその人にしてください」
そうだ、俺だけではあの魔王を倒せなかった。
流石に俺だけがお礼を貰うわけにはいかない。
「その方には、また会った時にしよう」
「私もそれがいいと思います」
「君にはこれを差し上げよう」
そう言い、黒いカードを差し出した。
これは…まさか…。
「プレミアムカードですよね?」
「そうだ。一億ほど入っている」
「一億!?」
なんという大金なんだ。
だが、ここで断っても。色々言われそうなので。
「ありがたく頂戴します」
「うむ、ありがとう」
やばい、今でも実感が沸かない。
一億円を貰っただと…。
「あと、もう一つあるのだが」
「何でしょうか?」
「屋敷を貰ってほしい」
へっ? 屋敷を貰ってほしい?
「どうゆうことですか?」
「実は長年使っていない屋敷があるのだ」
「あの屋敷ね。300年前に建てられたんだって」
「そうだ。保存技術で、今も残っている」
300年前か…。俺が死んだ年だったな。
「前から売ってはいたのだが、誰も買ってくれなくてね」
「だから、司くんに使ってほしいのよ」
「君が良かったら無料で譲ろう。他の費用も負担する」
「分かりました。貰いましょう」
「本当かね?」
「はい」
今の家でもいいが、屋敷の方が広いからな。
「よかったよ。これからも頼むよ」
「はい。大切に使わせていただきます」
「これを受けっとてくれ」
そう言い、鍵をこちらに置いた。
それを受け取る。
「何かあったら。いつでも連絡してくれ」
「そうですか」
「ところで、君の家はどこかね?」
「この辺りの一軒家です」
「送っていこうか?」
「いえ、自分で帰ります」
「そうか。では、また会おう」
「じゃあね。司くん」
「あぁ。じゃあな」
こうして、エリンの家を出た。
しかし、今日は災難だったな。
背中は刺されるし、頭痛はひどいし。
まあ、いいこともあったけど。
さて、今日は豪華な食事でもしようかな。
人助けは大変だが、必ずそれ相応の結果が出る。
そのことに気づいた。
《『人助け人』の称号を手に入れた!》