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10 ハンサム剣士と煽り主人公とヒロイン

 さあ、こんなセリフ言ったからには。

それなりの力で倒したいものだが…。


「我が名はカール様の側近! トルオスだ!」


 そう言い、剣を持ちながらこちらに来た。


それと同時にめまいがする。


意識が戻ったころには剣は顔の真上まできていた。


「瞬間移動【テレポート】!」


咄嗟に回避魔法を唱え、剣を回避したが。


「うげ! 痛いなぁ」


宙に移動してしまったので、床に強打した。


「私の状態剣を避けるとは…」


「何が状態剣だ。厨二病め!」


俺も人の事は言えないかも知れないがな。


「な! 厨二病の何が悪い!」


「今だ!空銃を喰らえ!」


右手で空銃の引き金を引き、6発も放つ。


「貴様こそッ!厨二病ではないか!」


「さあ、斬ってみろ」


「こんな弾程度、怖くないぞ!」


そう言い、3発の弾を斬り消した。


だが、空銃の本領はこれからだ。


「後ろを見ろ!間抜けが!」


「は?後ろだと?」


 相手が後ろを向いた途端、残りの3発が顔に命中した。

この空銃の弾は自在に操ることができるのだ。


「フーハッハ!ハンサム顔が台無しだぞ」


「おのれ、わざと後ろを振り向かせて…」


騙されるほうが悪いんだよ。バーカ。


そんなことを思う主人公であった。


「貴様を一生醜い顔にしてやる!」


しまった。煽り過ぎたか。


相手は本気の表情で剣を振ってきた。


その剣が床に当たると、大きな揺れが。


相手は剣を抜き。剣を振り、刃を飛ばしてきた。


これくらいなら避けられる。


そう思い、左に避けた。


しかし、刃も左に向かってくる。


マジかよ。追尾してくるのかよ。


「どんどんいくぞ!」


そう言い、同じような刃を何発も飛ばしてきた。


 その数、合計30枚!

これを避けなければならない。


そうだ。一回、屋敷の外に逃げればいいじゃないか。


こんなことを思いついた。


 早速、出るために壁を壊した。

勿論、あとで弁償する予定だ。


 これで脱出して、あとであいつを倒そう。

と思っていたが。


しかし!現実は甘くない!




 柔らかい感触。

中に戻されてしまった。


これは一種の隔離結界だろう。


後ろを振り返ると。無数の刃が迫っていた。


(あっ…これ駄目なやつだ)


 この時、俺は絶望した。

こんなところでリタイアとは…。


失せていく意識の中でこんな声がした。


「うわ! 辞めろ!」


相手は何かに苦戦しているようだ。


「痛てぇ! 股間が…」


その声と同時に無数の刃が消えた。




「しっかりして!」


そう言われ、ビンタされた。


「なんだよ…待ってろと言ったぞ…」


 そこにはエリンが居た。

どうやら、俺の為にここに来たようだ。


「ふん、この女め…。俺の股間を蹴りやがって」


「なんだ、その大剣は小さなナイフかよ」


 剣士は小さなナイフを持っていた。

強化魔法などで大剣に変化させていたのだろうな。


あんなナイフなら余裕さ。


そう思った時。


「うっ…」


 さっきの様なめまいがする。

これでは攻撃ができない。


「死ね! クソ女!」


剣士はナイフを持って、エリンの方へ走る。


 このままでは刺されてしまう。

だが、こんな状態ではまともに魔法も使えない。


「だったら…」




 グサリとナイフが肉に刺さる音がした。


「ふん、馬鹿め」


「うぐっ…」


「そ、そんな。私の為に…」


 俺は咄嗟にエリンを庇った。

ナイフは背中に刺さっている。


 勿論、痛いはずがない。

防御魔法も使っていないのだから。


 後ろ振り返ると。

剣士の頭に機械のようなものが付いていた。


(あぁ…。そういうことか…)


 剣士の手を強く掴み、ナイフを抜く。

そして、両肩を掴む。


 何をするのかだって?

それは…。


『頭突き』だ!


 相手の頭に自分の頭を強くぶつける。

頭に付いていた機械も一緒に壊れている。


相手は数歩ほど後ろに下がり、倒れた。


せっかくのハンサム顔を台無しにしてしまったな。


(まあ、俺の方がカッコイイと思うがな)




「だ、大丈夫?」


エリンが心配してくれた。


「ふん、これくらい問題ないさ」


 本当は背中は痛いし、頭痛もひどい。

すぐにでも家に帰りたい気分だがな。


いや、その前に病院に行くべきか。




「私の忠実な側近を倒すとは…。おのれ…」


 フード男から青い煙が出ている。

これは、変身パターンだな。


「エリンは今のうちに逃げてくれ」


「…分かった。絶対に死なないでね」


「俺、この戦いが終わったら告白するんだ…」


「そ、そうなんだ」


そう言い、エリンは去っていった。


しまった。こんなフラグを立てるんじゃなかった。


「全て破壊し尽くしてくれる…」


相手の変身は終了していた。


 大きな体に忌々しい顔。

周りから溢れる青いオーラ。


こいつは魔王の一種だな。


しかし、魔王に出会うとは。運がないな。


相手は口から青い炎を吐いた。


それを全力で避ける。


(炎は青い方が熱いんだったな)


ということは、あれに焼かれたら骨も残らないのか。


炎はこちらを追うように吐き続けられている。


さらに、速度を上げて逃げる。


 そんなことをしていると、いつの間にか炎に囲まれていた。

もう少し、考えておくべきだったな。


反省をしている暇も無く、炎の玉がこちらに飛んできた。


やっぱり、フラグは立てるものでは無いな!


最期にそう思う、主人公であった。


《『一流フラグ建築士』の称号を手に入れた!》










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