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01 劣等異能力使いの高校生、現世に戻る

 全てが人工物の街並み。

緑は一切無く、水は黒く濁っている。

そんな風景を俺は眺めていた。


 俺の名は「岡野おかの つかさ」。2006年生まれ。

そして、この世界は2318年。”普通なら”生きているはずはない。




 今から300年前、俺は交通事故で死んだ。当時12歳の出来事だ。

そこからは屋敷の中に居て、一人の老人に出会った。

その老人は神と名乗り、こう言ったのだ。

「異世界で三年間勉強したら現世に戻してやる」


 そう言われ、異世界での生活が始まった。

最初は混乱したが、衣食住に関しては老人が何とかしてくれたおかげで困らなかった。


 異世界で勉強したのは魔法についてだ。


ここで才能があったのか、首席で卒業できた。

本来なら12年のところが3年になったのだ。




 そして、現世に帰る時が来た。

初めは異世界での時の流れは遅い、そう思っていた。

しかし…。


 「そうだ、言い忘れていたが、異世界の1年は現世の100年じゃ」


この時、絶望した。

ということは現世では既に300年も経っている。


「お前はこれから300年後の世界で高校生になってもらう」


「家や金はどうしたらいい?」


「細かいことはワシに任せなさい」


「分かった」




 こうして、俺はここに居るということだ。

今はタクシーに乗って、新居に向かっている。


 だが、300年も経つと世界は大きく変わっていた。

このタクシーはタイヤが無く宙に浮いて動いているのだ。


 運転手はロボットだ。


「お客さん着きましたよ」


声は人間そのものだ。


俺は運転手にカードを渡した。


 この時代だと全て一つのカードで支払いを行うらしい。

俺のカードには現在500万ほど入っている。

勿論、あの老人のおかげだ。


俺はタクシーを降りた。


「ここが300年後の世界か…」


普通の町らしいが、周りには高いビルばかりだ。


 見た感じ、服はあまり変わっていない。

これには、少し安心した。


安いタクシーを選んだせいか、距離が決まっていた。


ここからは新居まで徒歩か。


「どけよ! 害獣ども!」


一人の男が怒鳴りながら『獣人』をどかしていた。


獣人というのは今から230年前、とある科学者が作り出した生物らしい。


獣人の身分は人間と比べ圧倒的に低い。


扱いは基本奴隷だとそうだ。


この世界の常識や知識は老人から学んだ。


ドンッ! 誰かと肩がぶつかった。


「おい、今俺にぶつかったな?」


 運が悪いな、如何にも悪そうな男とぶつかるとは。

300年前の俺なら逃げていたが、今は違う。


「すみません。許してください」


「あぁ? そんな態度で許してくれだと?」


ふん、野蛮な奴だ。ここは戦うしかないか。


「やるか?デカ男よ」


「上等だ、全身骨折にしてやる」


 まさか、本当にやるとは。

これは予想外だな。


 息を整え、右手に空気を集めた。

これが俺の能力『構成魔法』だ。


この魔法は様々な物質で物を作ることが出来る


 今回は片手サイズの銃を構成した。

名前は「空銃」。意味は特に無い。


「見かけねえ『開発魔法』だな。さては他所の人間だな?」


この男が言っている『開発魔法』とは人工的に使えるようになる魔法だ。


全世界の人間の98%がこの『開発魔法』を使うらしい。


「何考えてやがる!」


男の拳が顔の目の前まで来ていた。


それを素早く後退し、回避する。


 自慢かもしれないが、俺の速さは最高で300㎞だ。

そこまで速度出すと身体への負担が大きいので、普段はあまり使わない。


銃を男に向けて、引き金を引く。


圧縮された空気の弾は男に向かっていく。


男は避けることなく、弾は右胸に命中した。


空気ではあるが、この速度で撃てば人間の体ぐらいは貫通できる。


「う…うが」


男は右胸から血を流している。


「仕方ない。助けてやろうか?」


 流石にここまでやると警察が来て迷惑なので、治療魔法でも使って助けようとした。


「かかったな! 間抜けが!」


 男は地面を蹴って、こちらに拳を向けて向かってくる。


突然の出来事に避けることもできずに拳が顔面に命中した。


あまりの威力だったので200m近く飛ばされる。


 異世界に居た頃は龍の王という敵の一撃が一番の攻撃だった。

その攻撃ですら、少し切り傷が出来ただけだったのだ。


この世界ではそこら辺の不良ですら強いのか、鼻血が止まらない。


よく見たら右胸の傷も完治している。


異世界最強はこの時代では雑魚か。


「そこの君たち! 戦闘を中止せよ」


「やべ! 警察だ!」


男は警察を見て逃げて行った。


俺もどこかに逃げなくては…。


 『立体機動』という異能力を使えば逃げれるのだが、ここで能力を使うのは人目が気になる。

いや、今更か。


立体起動を使用し、ここを去った。


 なんとか、警察からは逃れられることは出来たが。

これから俺はどうなるのだ…。










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