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第九話 時の齟齬

 こちらも確認したいことがあるが、まずは部下の報告を聞くことが肝要だろう。

 レイフェルは頷いて促す。


「まずはお詫びになります。レイフェル様より命じられた件でございますが、十柱のうち、リリウム様とシャプシュ様、シバルバー様については一度お集まりいただいたきこちらでお待ちいただいていたのですが……。申し訳ございません、皆様ギルド城よりお出かけになってしまわれました」

と、疲れきった感じで執事が謝罪する。


「え? 」

 思わず声に出してしまった。

 叱られると思ったのかメイドたちが体を強張らせる気配を感じた。

「いや、怒っているわけではないから安心して」

と、彼女たちに話しかける。

 メイドたちはその言葉に安どの表情を浮かべる。

 しかし、レイフェルは思った。彼女たちは元気が無いように見える。外の様子を見に行ってからそれほど立っていないようなのに、疲労困憊で立っているのもやっとのようにさえ見えてしまう。気力で必死に補っている感じがありありだ。

 ギャリソンといい、メイドといい明らかに変だ。……もっとも、ゲームの中に取り残された自身が、そしてそれを随分とあっさりと受け入れている事が一番変なのだけれど。


「どうしてそんなことになったんだ? 説明してくれ、ギャリソン」


「実は、レイフェル様が様子を見に行ったすぐ後に三人はこちらに集まり、レイフェル様を待っていました。その間にギルド城に起こったことや他の十柱の方がどうなっているかも彼らの知る情報を教えていただきました。難にしても今後については、レイフェル様がお帰りになってから支持を仰ごうということで結論が出ていました。しかし……」

 そこで言葉を切ってしまうギャリソン。


「続けてくれ」


「ずっと待っていたのですが、三人はあまりにレイフェル様のお戻りが遅いので、どこか遠くへ……他のギルドメンバーと同じように自分たちを置いて行ってしまったんだと結論づけました。そして、主のいないギルド城にいても意味がないと旅立ってしまわれたのです。そして残された私たちはレイフェル様をお待ちするしかなかったのです」


 ギャリソンの言っていることがレイフェルには理解できなかった。

「いやちょっと待ってくれ。僕が外にいたのはせいぜい1時間くらいだぞ? それくらいの時間でどうして僕がどこかに行ってしまったって思うんだよ? 」

 レイフェルの言葉のギャリソンだけでなくメイドたちも驚きと困惑の表情を浮かべた。


「どうしたんだ、みんな、そんな変な顔をして」

 自分がおかしなことでも言ったのだろうかと不安になってしまう。


「レイフェル様。どうも私たちとレイフェル様の間に大きな誤解が生じているようです」


「どういうことだ? 」


「レイフェル様はわずかな時間だと思われているようですが、レイフェル様が外に出られてから、……約900年の歳月が経過してるのです」


 は?


 えええええ!!!


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