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Re:Set  作者: SIM
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Re:チュートリアル②

 ────チュートリアルスタート


 なんだなんなのなんですか一体。

 ゲーム?リセット?チュートリアル?

 突然、体育館のステージらしき所に現れた真っ白な人物像。そいつが告げたイミフ〜なゲーム開始宣言。まったくついていけない。ついて行けたら頭のネジが抜けているか締まりすぎているかのどっちかだろう。どちらにせよ頭おかしい。どっちでもええわ。

「お、おい、なんだよこれ」

「かみさま……?頭おかしいんじゃねえのか!」

「俺たちを家に帰せ!」

 やっと麻痺した思考から解放されたのだろう。体育館のホールらしき場所に集められた総勢一万人の人間が大いに騒ぎ立てる。

『良いんですか?帰しても。帰すことは可能ですとも。私、《カミサマ》ですし。ですけど──あなた方、本当にあんな現実に帰りたいんですか?希望がついえ、何もかもを失いまくったあの絶望げんじつに』

 途端に、何かを思い出して口をつぐむ一万人の人間。

 景人も……突然奪われた日常に目頭が熱くなる。

『そうやって悲しんでいられる内はまだマシな方ですね。精神がやられた人は……まあ、少ないようです』

 いるのか。…………。

『生きて行くために必要な本能は生きているようなので構わず続けましょうか』

「はぁ?……おいカミサマ!精神がやられてるってのに随分な言い草じゃねえかよッ?」

 叫ぶ景人に、自称カミサマは

『あなたこそ随分な言い草じゃありませんか?《カミサマ》に向かって。と言うか、この状況で他人の心配ですか。ヨユーですねぇ、佐藤景人さん』

 有無を言わせぬ強い威圧を放ち、景人は怯んでしまう。

『あなた方は今から、命懸けのゲームをするんです。余計な事考えてたら、死にますよ?』

 その言葉に体育館中の人間がどよめく。

『生きる事を諦めた命。それがここに集められた一万の命。どう扱おうと勝手ですケド……せめて私を楽しませてからにしてくださいよ。捨てるのは。でないと使った労力の割に合いません』

 肩をすくめおどける《カミサマ》。その仕草に腹が立つも、何も出来ずに睨み歯軋りをするのみとなった少年。まるで犬のようだ。まるで恐れられてないが。

『ま、そんなわけなんで。二度目の命、自由にお使いください。ただし、私を楽しませるという条件付きで。──それが、この"リセットゲーム"のルールです。このゲームを生き残った人達への景品も用意してありますよ?』

 景品、という言葉に現金な人間達がピクッと反応する。ビクンッと反応したら少しアブナい人だ。だがそんな人間はいない。皆ピクッとだ。じゃあなんでビクンッてやつの例言ったし。

『話の流れから景品が何なのかは察せると思いますが念の為明言しておきましょう』

 今から明言される事をしっかりと聞くために、体育館内は静寂に包まれる。

『ゲームの景品。それは……』

 ゴクリ。


『うま○棒一兆年分でっす!』


「「「ちょっとオモテ出ろやぁぁぁああああああああああああああああああああああああ!!」」」


 怒号が響き渡った。ちなみに土豪は響き渡らない。

 オモテ出ろとか何世代前のヤンキーだか分からないセリフを発するのも無理はない。景品がお菓子だという事もまあ、頭にはくるが、それ以上に。

「一兆年分とか拷問か!?」

「んなもん食っても食ってもキリがねえよ、むしろうま○棒の手頃な美味さがわかんなくなるわ、そんだけ食ったら!」

「せめて生きてる内に食える量にしろよ!」

『えええぇっ!? ツッコむとこそこなの!?』

 はて、いつからこれ、コメディ展開になった?シリアス戻って来い。カムバァーック!

『えー、こほん。すみません。ツッコミどころを一つに絞らなかった私のせいですね……。ではもう一度改め「なくていいから本当の景品について言えよ!」はいすみませえええぇん!』

 景人、切実な叫び。

 《カミサマ》、威厳は何処へ。

『あー、んじゃ本題戻りましょうか』

 脱線した地点は何処だろうか。

『景品でしたっけ。まー流れで分かりますよね。あなた方がリセットしたいと願ったモノ。それを叶えます。ついでに元の世界に帰してあげますよ。リセットした地点から好きなように人生をやり直してください。それがこのゲームを生き残った人達に与えられる景品……報酬ですかね?』

 こんなところです、と締めて、胡散臭い《カミサマ》は体育館に集まった一万もの命を見渡す。

『質問は無いですか?……ありませんね。ゲーム中にわからないことがあればいつでも私にメールを送ってください。五分で返しますよ』


『それじゃ、最初の"ゲーム"について説明しましょうか。記念すべき第一ゲームは──』


 ────鬼ごっこ


  * * *


 誰しもが経験したことのあるはずの遊戯。それを、デスゲームにしてしまおう。

 《カミサマ》はそう言った。

 対して誰かが問うた。

 鬼ごっこがどう、デスゲームになるのか。と。

 それへの返答は、理屈は単純で、現実には実現不可能とされる方法だった。


 ──本物の鬼を使えば良い。


 なるほど単純だ。

 しかし、体育館内の人間はそれが可能だとは思わなかった。どうせ鬼の格好をした人間だと。そう思った。

 しかして、それはフラグとなり、無情にも、数千の命を奪った。


 さあ、楽しいゲームの始まり始まり……。

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