Re:プロローグ
誰もいないと思わせる静寂の中心に、『少女』は立っていた。
と言えば、まるで世界から『少女』以外が消えてしまったかのように聞こえる。しかし、そうではない。ここから三日ほど……正確な距離は知り得ないが、歩けば、ちゃんと人が住む街に辿り着く。
まあ、そんなことはどうでもいい。なぜなら、『少女』は二度とそちらに足を向けることはないだろうから。あるいは、向ける必要がないだろうから。
逸れた意識を再び、目の前に浮かび上がる《ゲームクリア》の文字に向け、告げる。
「──ゲームリセット。役者を総入れ替えして、《ゲーム》を最初からもう一度……これが私の願い」
願いが聞き入れられたのだろう。
《ゲームクリア》の文字は虚空へ消え、世界が歪み始める。願い通りの世界が再構築される。
──ゲーム・スタート──
どこからともなく響き渡る、まさに天の声とでも言うべき異様な音声。
『少女』は身を震わせた。
これが、『私』の望むモノ……。
後戻りは出来ない。する必要もない。そんなの、死より暗い現実に戻るだけだ。
……ここが、『私』の居場所。
再構築が進む世界の中心で、『少女』は笑う。嗤う。ワラウ。
ここが、『私』の居場所──!
かつての地獄が、『少女』の居住地となった。