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手話

私は耳が聞こえない。

だから誰がどんな悪口を言っても知ったこっちゃない。


でも


「追い返せよおい、なんかあった時お前どーすんだよ。しゃぁねえなー、お客様恐れ入りますが…」


位の話はなんとなく雰囲気でわかる。


そんなわけで同じ店の同じ方をいつも指名する事になる。


そんなわけでいつもの方を指名すると辞めたとの事。


新人ですがとの事で始めての人についた。

例によって


「楽しかったです。また来ます」


と書いたメモを渡した。


しばらくしてまたその店で同じ方を指名した。


帰りしなに彼女の手が動いた。

「有難う。た の し か ぬ た よ」


下手糞な手話に小さな子供が玩具を見せびらかす時のような飛切りの笑顔がついてきた。


私はいつものメモを渡して店を出て路地を曲がって号泣した。

どうやら私の泣き声はえーんえーんとかしくしくといった音で表現できるものではなかったらしい。


二人組みのお巡りさんが飛んできた。(そのうちの一人の口はキャンユースピークジャパニーズと動いていたように思う)私はなんとかメモに書いて渡した。


「なんでもないです。ただ幸せだったんです。」


今思えばなんでそんな一文を付け足したのか、でもそう思った。


その後彼女も引退したようで、私も結婚してそういう店には行っていないしもう行かないと思う。でもどこかで楽しく過ごしてんだろうなと思う。

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