前ノ口上
播州姫路毒皿数
登場人物
黒田官兵衛……主人公。戦国乱世を気ままに生きる青年。
八代又助……官兵衛の従者にして友人。気苦労が絶えない。
禰子……黒田職隆付の侍女で官兵衛と又助の友人。くノ一っぽい。
黒田職隆……播磨の大名小寺家に仕える、姫路城の城主。
津田蓬莱庵……黒田家に仕える侍医。
町ノ坪弾四朗……黒田家に逗留している壮年の武将。
新右衛門……黒田家に仕える小姓。
菊千代……黒田家に仕える小姓。
お蝶……黒田家に仕える新参女中。
お吉……黒田家に仕える女中長。
頻出用語解説
曲輪……城砦を何重かで取り囲む外壁部分から内側を指す言葉。
江戸時代では同様の物を本丸、二の丸、三の丸という風に言った。
小姓……武家等の歳若い子弟が就く、武将の側で働く職業。
身辺警護や雑務といった役割の一方、行儀作法を学んだりもする。
侍女……公家や武家に使える子女の事。
本作品では特に女中と区別して武将直属のエリート的な扱い。
乱波……忍者の事。戦国時代にはこう呼んだ。他にも草の者、透波とも。
侍医……皇族や将軍家、大名など、位の高い人物に仕える医師の事。
本作品では大名家に限らず、戦国武将の家に仕える医師の事を指す。
江戸時代からは御典医とも呼ばれる。
今日、世界遺産としてその姿を残す姫路城は江戸時代になって天守閣が作られ、天下の名城と呼ばれるようになる以前は群雄割拠の時代では戦う為に必要な機能を備えた、丘の上に造られた要塞であった。
姫路城を所有したのは、戦国の大名小寺氏であったが、実際にこの地にあった砦を姫路城として作ったのは、小寺氏の重臣黒田職隆であり、その子、黒田官兵衛は後に豊臣秀吉に仕え、関ヶ原の戦いを戦い抜き筑前五十二万石の大大名として名を馳せた。