独奏のあおはるから。。。
この作品はR18にする予定はありません。
最後までの骨組みができているので、肉付けしてみて短ければ、連載ではなく一気に短編小説として投稿するかもしれません。
初めてすみれさんを意識し始めたのはいつだろう。初めて同じクラスになった時?初めて前の席にいるすみれさんに声をかけられたとき?初めての登校で一番乗りだと思ったらすみれさんが一番乗りでびっくりしたとき?
熱に浮かれている今となっては、どれも正解な気がしている。
そんな、出会いのあった春から意識し続けて、もう初夏になってしまっている。すみれさんをみかけるだけで、声をかけられるだけで、胸が高鳴る日々を過ごしていたらあっという間だった。
扇風機が出され始め、暑さとセミの声がで徐々にやってきて、机に張り付いている人が増えてきている。でも、私はそれどころではない。なかなかすみれさんにうまく話しかけられないのだ。今日も今日とてすみれさんと挨拶の言葉だけ。
既にクラス内ではグループができており、陽気でまとめ役なグループ、趣味仲間で集まったグループ、同じ部活動仲間のグループだ。
すみれさんはその中で陽気でまとめ役なグループ、私は趣味仲間で集まったグループだ。
私はサッカー部に所属していたが、同じ部活動仲間と仲が友達と呼べるほど親しくはなかった。
同じ部活の部員の皆に申し訳ない気持ちがあるが、もてたいからサッカー部に入部してみただけだったので、いまいちサッカーの楽しさがわからず、TVでプロの試合を観戦してみても、面白さがわからなかった。その興味の薄さが伝わってしまったのであろう、彼女のいる陽気でまとめ役なグループと多少なりとも話すサッカー部のグループになじめなかった。
もてるどころか周りの力もかりてすみれさんと日常の天気の話題ですら話すことができないまま、高校で隣にいた男子に勧められたのがきっかけではまったライトノベルやアニメで盛り上がれる趣味仲間で集まったグループに所属していた。
今日も今日とてすみれさんと話せず、もどかしさをぐっと胸にしまい込んで、趣味仲間たちとの会話に勤しんでいた。
「おい、あおはる!レッドアイの少女の新刊もうみたか?」
「ああ、みたよ。戦闘描写や出会った男の子を意識し始めてるけど、素直になれないもどかしさが、心にぐっときたよ。」
「だよな!でも、もっと自分の気持ちに正直になって接すれば、仲良くなれそうなのにな。いやーこのもどかしさ、あおはるだねー!」
「!?」
「なにひきつった顔してるんだよ。」
「一応きいとくが青春のことだよね。」
「ああ。まぎらわしいこと言ってすまん。小説の中の事だ、お前のことじゃないよ。」
仲間たちは含み笑いを浮かべながらこちらをみていた。
「そうだよな!」
そんなにわかりやすいか?いやまだちゃんときかれたわけではないから、きっとばれてない。。。はずだ。。。
その後、週刊連載されている漫画に関してや、バーガーショップの店員さんの可愛さについてなど、我々にとって男子高校生らしい会話をしていた。
「龍の宝って漫画この間衝動的に、ブックリサイクル店で読んで一式買ってしまったよ。」
「おーあおはるあれ買ったのか!世界に散らばった龍の宝を集めると、集めてきてくれたお礼になんでも願いをかなえてくれるってやつだろ?」
「そうそう!宝をめぐっての戦闘とかとても胸が熱くなったよ!」
「あおはるくん、全巻もってるの?」
「そうだよ!さっきいったじゃないか全巻一気に買った。。。って。。。」
「そうなんだ!私も興味があるから読み終わったら貸してくれないかな?」
いつも遠くから聴くだけだった、鈴のような声がとても近くから聴こえてきた。
これが晴天の霹靂というものか。。。
単調な音だけだったあおはるの独奏に、メロディがつき始める。
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モチベーションが上がって投稿速度がきっと上がります!
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