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七章 紅い雷対紅い月

香澄たちが去った地下墓地に白陽姫たちの姿があった。

白陽姫たちはユキュアを棺に入れ、たくさんの銀月華を手向けている。

「苦しい中、よく頑張りましたね」

六合はユキュアを見てそう言った。

白陽姫たちは棺に蓋をして埋葬地まで運んでいく。

「六合様」

跪いたフンケルンは六合に頭を下げながらそう言った。

「やはり、梨々香の力で満ちているこの地は温かいですね」

六合はアン・B・エリオットの墓石を見てそう言った。

「・・・六合様、天道の勇者は島を元に戻すためならナハトの降臨すら辞さないそうです。こんなことを許して良いのでしょうか」

フンケルンは六合を見てそう言った。

「お互いが終始冷静な状態で話し合えるなら、不必要であり過剰な行為と言えるでしょう」

六合はフンケルンを見てそう言った。

「・・・」

フンケルンは六合を見て黙った。

「誰もが恨み辛みを流せるわけではありませんよ。一度生まれた憎しみはどれだけ時間が経とうと消えません。立華 香澄という存在が歴史に存在する限り、傷は化膿し続けます」

六合は地下墓地を清掃する白陽姫たちを見てそう言った。

「再び立華 香澄のような存在が現れれば、その傷から島は更なる地獄と化すでしょう」

六合はそう言うと、フンケルンを見た。

「・・・彼女たちは話し合うことで分かり合えるはずです。天日の大君様が彼女たちに伝えてきた心はそんなに薄く、脆くありません」

フンケルンは六合を見てそう言った。

「話し合うことで分かり合える時期は遥か昔に終わってしまったのですよ。気付くのも、行動するのも、何もかも遅かった。共に反省しましょう」

六合がそう言うと、フンケルンは諦めるように落胆した。


同年七月十一日。

香澄と三葉は中央に向かって歩いている。

歩みを進める香澄と三葉は話をする。

「お主、大きな権力を持っておったようじゃな」

三葉は香澄を見てそう言った。

「まぁね」

「ユキュアと航空士たちは最初の頃、お主の文句をよく言っておった」

「私の文句?」

「伝統を壊しただの戦争を起こしただの・・・まぁ、色々な」

「島を近代化させるには伝統を犠牲にするしかなかったんだよ。近代的な制度ができれば争いも起きるでしょ?」

「嬉しい時も苦しい時もみんなを引き寄せてくれる。伝統はそう言うものじゃ」

「伝統という心の拠り所を犠牲にしてまで近代化する必要はあったのかの」

三葉は前を見てそう言った。

「・・・」

香澄・赤雷は前を向いて立ち止まった。

「随分と遅かったな。小娘」

紅髪の女性、紅月(べにつき)は香澄を見てそう言った。

「・・・香奈ちゃんはどこだ」

紅雷刀を生成して握った香澄・赤雷は紅月を見てそう言った。

「天道の勇者から聞かなかったのか?天楼にいるよ」

「嘘はついてなかったか・・・」

紅雷刀を握った香澄・赤雷はそう言うと、厚い雪雲に覆われた空を見た。

「さて・・・いつまで正体を偽るつもりだ?白狐 真白」

腕を組んだ紅月は三葉を見てそう言った。

「・・・」

紅雷刀を握った香澄・赤雷は三葉を見た。

「・・・さて、何のことだが」

三葉は紅月を見てそう言った。

「まぁ、良い」

紅月は笑いながらそう言うと、円形の鏡を生成した。

「人の強さとやらを見せてもらおうか」

紅月がそう言うと、宙に浮かぶ円形の鏡が紅く光り出した。

気封空間(きふうくうかん)・・・解放」

紅月は神技を発動する。

神技が発動されると、赤雷が力を失ってクイーンキャットが雪の上に落ちた。

「すごい力だね・・・」

紅雷刀を握った香澄は凍えながら言った。

「この程度の寒さ・・・神なら耐えられるぞ」

紅月はそう言うと、歩み始めた。

「クソ・・・面倒ごとは勘弁だ!」

三葉は紅月を見て小声でそう言うと、ひっそりと逃げた。

紅雷刀を握った香澄は紅月の神気弾を斬るも滑って大幅に後退した。

「一撃が重すぎる・・・どうにかして力を使わないと・・・」

紅雷刀を握った香澄は冷や汗をかいてそう言った。

「あの鏡さえ破壊すれば!!」

鏡を見た香澄はそう言うと、紅月に向かって走った。

紅月は紅雷刀を避け、香澄に手刀を振った。

紅雷刀を握った香澄は手刀を避けてよろけた。

(い、痛い・・・当たってもないのに・・・)

頬から鼻にかけて大きく切れた香澄は紅月を見て冷や汗をかきながら紅雷刀を振った。

紅雷刀と紅月の手刀が激突し、青い光を放つ。

(どうにかしないと・・・)

吹き飛ばされた香澄は急いで起き上がり、紅月を見た。

(どうにかしないと!!)

香澄は紅月の拳を避ける。

紅月の拳は地面を粉砕した。

「・・・」

飛び跳ねるように逃げた香澄は紅雷刀を構えた。

(もう・・・こうするしかない!!)

紅雷刀を構えた香澄は迫る紅月の拳を見て歯を食いしばった。

紅月の拳は香澄の腹部を貫き、鮮血が飛び散った。

(これで・・・壊せる!!)

口から血を垂らす香澄は紅月の近くに浮かぶ鏡を見て笑むと、紅雷刀を握り直し、紅雷刀で鏡を突いた。

「ま、まさか・・・鏡を割るためにわざと攻撃を受けたのかッ・・・」

紅月は驚きながら紅雷刀を見てそう言った。

鏡にひびが入った瞬間、香澄が紅い稲妻を放ち始めた。

紅い稲妻が弾けると、紅月が吹き飛ばされた。

「なんて力だ・・・凄まじい痛みだ・・・」

冷や汗を垂らす紅月は傷を見て笑みながらそう言った。

「・・・」

魔神テリュスは魔剣ラ・ヴィクターで水蒸気を斬り、魔剣ラ・ヴィクターを構えた。

「これが俗世の大権を獲得した魔神の力かッ!!」

冷や汗を垂らす紅月は魔神テリュスを見て笑みながら言った。

魔剣ラ・ヴィクターを握った魔神テリュスは魔剣ラ・ヴィクターを紅月に振り、紅月の腕と胴を斬る。

魔神テリュスは魔剣ラ・ヴィクターを再び構え、紅月の胸部に向けて振った。

魔剣ラ・ヴィクターは紅月の神核に当たる。

紅月の神核が砕けると、魔剣ラ・ヴィクターは紅月の胸部を切断した。

「・・・」

紅い稲妻が弾けると、香澄が姿を見せた。

「逃げやがったよ・・・地下生活区にはいかないはずだ・・・」

香澄は息を荒げながら周りを見てそう言った。

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