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五章 対橙月

空を覆い尽くさんとする煌金大天楼は世の主に許された一時の楽園。

この楽園はとても平和である。

「・・・」

赤眼、黒髪ミディアムボブヘア。黒い着物で身を包んだかなり白い肌の女性、青月は膝の上に座って寝る香奈を見ていた。

煌金岩(こうこんがん)様がお戻りだ」

紅髪の女性は歩みを進めながらそう言った。

「・・・子供が寝ている。跪く必要はない」

黄金眼、白金髪ロングヘア。黄色の着物で身を包んだ女性、フンケルンは五色の月を見てそう言った。

黄金風(こがねかぜ)より権能の一部を受け取った」

フンケルンはそう言うと、黄金風に包まれた水晶板を生成した。

「白狐 真白とその一味は緑と桃を撃破し、聖地華千﨑(かせんざき)へ侵攻している」

フンケルンはそう言うと、黄金風に包まれた水晶板を消滅させた。

「世の主六合に代わって六合結界を完成させ、聖地華千﨑を必ず守るぞ」

フンケルンは五色の月を見てそう言った。

「必ずや責務を果たします」

残った五色の月はフンケルンを見てそう言った。

「・・・」

フンケルンは水晶玉に映る梨音を見た。


同年七月七日。

香澄たちはマフカ地下墓地に入り、火の近くで休んでいた。

「この吹雪じゃ外には出られない」

グローリーの組織員1は香澄たちを見てそう言った。

「吹雪の前に寒すぎる・・・火が無かったら地下でも凍死するよ・・・」

香澄は震えながら言った。

「これが本来の極地じゃよ」

三葉は香澄を見てそう言った。

「恐るべし燦水天狐族・・・」

震える香澄は三葉を見てそう言った。


一方、ユキュア・ノワールは吹雪の中を飛行していた。

飛行するユキュアは吹雪に違和感を感じている。

「なんだ・・・まるで何かが私を阻んでるみたいだ・・・」

ユキュア・ノワールは吹雪を見ながら言った。

ユキュア・ノワールは吹雪を抜けるため、直上し始める。

吹雪は小粒の雹に変わり、バリアに当たってバチバチと音を立てる。

直上を開始して数分、ユキュアは分厚い雪雲を抜けて空中で静止する。

「・・・ちょっとは手加減してくれないかな・・・」

空中静止したユキュア・ノワールは島の中央から上がる銀、黄、二柱の柱を見てそう言った。

「できない」

冷たくも熱い、そんな声を聞いたユキュア・ノワールは驚きながら振り返る。

「・・・」

ユキュア・ノワールは振り向き、フンケルンを見た。


同年七月八日。

猛烈な吹雪の中、ユキュアが香澄たちの所へ帰還した。

「おかえり」

香澄・赤雷はユキュア・ノワールを見てそう言った。

「大陸に日菜がいた」

ユキュア・ノワールは香澄・赤雷を見てそう言った。

「日菜?日菜って、國氷(くにごおり)?」

「あぁ」

ユキュア・ノワールはそう言いながら焚火の近くに座った。

「元気だった?」

香澄・赤雷はユキュア・ノワールを見て笑みながら言った。

「あぁ、元気だった。小さなおもちゃ屋をしていたよ。時計なんかも作って楽しそうだった」

ユキュア・ノワールは焚火を見てそう言った。

「そっちはどうだった?なにか見つけたか?」

ユキュア・ノワールは香澄・赤雷を見てそう言った。

「吹雪が強くなってきてさ・・・」

香澄・赤雷は申し訳なさそうに言った。

「調査中に全滅か・・・」

ユキュア・ノワールは周りを見てそう言った。

「・・・ごめん」

「・・・あいつらも覚悟してただろう。というか、最初からお前が気に病むことじゃねぇだろ」

ユキュア・ノワールは香澄・赤雷を見てそう言った。

「早く奴らを倒すぞ」

ユキュア・ノワールは立ち上がってそう言った。


同年七月九日。

島の中央に向かって進むグローリーは中央から上がる光の柱をついに光る柱を見つけた。

「何あれ・・・」

香澄・赤雷は銀色、黄色二柱の光柱を見てそう言った。

「先生」

ユキュア・ノワールは三葉を見てそう言った。

「何かの術か・・・まさか、裏天(りてん)七柱も来ておるのか・・・」

三葉は三色の光柱を見て呟いた。

「何をぶつぶつ言ってるの?知ってることがあるなら言いなよ」

香澄・赤雷は三葉を見てそう言った。

「この事件、四華神力を持つだけの神が起こしたと思っておったが・・・途轍もなく大きな存在が裏におるかもしれぬ」

三葉は香澄・赤雷を見てそう言った。

「途轍もなく大きな存在?」

「うむ」

「その途轍もなく大きな存在とは?」

ユキュア・ノワールは三葉を見てそう言った。

「世界の裏を支配する存在、龍神と呼ばれる七柱の神じゃ・・・」

冷や汗をかいた三葉は香澄たちを見てそう言った。

全てを焼き尽くし、大地を地獄に変える炎の龍、ヴァビリニオ。

全てを呑み込み、大地を水底に沈める水の龍、ヴォリローサ。

全てを凍てつかせ、大地を永久凍土に変える氷の龍、ヴィニ。

全てを破壊し、大地を無に帰す雷の龍、ヴリーハイド。

全てを凪飛ばし、大地を洗い流す嵐の龍、アリク。

全てを風化させ、土に還す地の龍、ヴィヴォルト。

「そして、それらの龍神を纏める龍神の王・・・ヴェルベサ」

冷や汗をかいた三葉は香澄たちを見てそう言った。

「じゃあ、この寒さは・・・」

冷や汗をかいたユキュア・ノワールは三葉を見てそう言った。

「うむ・・・氷の龍、ヴィニが術を使った可能性が高い」

冷や汗をかいた三葉はユキュア・ノワールを見てそう言った。

「・・・とりあえず進もうよ」

香澄・赤雷はそう言うと、前に進み始めた。

ユキュア・ノワールたちも前に進み始めた。

前に進むにつれて吹雪は強くなる。


同日午前十一時七分。

旧ワカゴマ町周辺を移動している香澄たちを白陽姫が襲った。

襲撃を受けた香澄たちはすぐに臨戦態勢に入り、白陽姫と交戦する。

「数が多い!」

紅雷刀を握った香澄は白陽姫を次々と斬りながらそう言った。

「それだけ敵の本拠地に近づいてるってことだ!」

エネルギー砲を構えたユキュア・ノワールは白陽姫を次々と撃ちながら言った。

「敵の拠点が近いぞ!」

逃げ回る三葉は撃ち抜かれる白陽姫を見てそう言った。

「一気に抜けるよ!」

紅雷刀を握った香澄はそう言うと、紅い稲妻を放った。

紅い稲妻を纏った香澄は途轍もない速度で走りながら白陽姫を斬る。

白陽姫たちは香澄を追い、ユキュア・ノワールたちは香澄と白陽姫たちを追う。

「・・・」

紅い稲妻を纏う香澄は飛び上がり、敵の拠点を見た。

「・・・」

橙月は紅い稲妻を見ると、槍を生成して握った。

「とりゃぁぁぁぁ!!!!」

魔剣ラ・ヴィクターを握り込んだ魔神テリュスは叫びながら橙月に急降下した。

紅雷が拠点に直撃し、衝撃波で様々なものが吹き飛ぶ。

「・・・」

魔剣ラ・ヴィクターを握った魔神テリュスは水蒸気の中から出てきた槍を弾き、魔剣ラ・ヴィクターを振った。

「一撃の重さが違う・・・」

橙月がそう言うと、背後に橙色の後光が現れた。

橙月は槍で魔剣ラ・ヴィクターを受け止めるも、吹き飛ばされた。

橙月は木に激突してからすぐに飛び上がった。

その瞬間、魔剣ラ・ヴィクターが木を斬り砕いた。

「クソ・・・色々な戦術を練ってきたが、結局はこうなるのか!!」

橙月は橙色の神気弾を生成してそう言った。

「・・・」

魔剣ラ・ヴィクターを握った魔神テリュスは橙月を見ながら魔剣ラ・ヴィクターを構えた。

「爆ぜろ!!」

魔神テリュスが飛び上がると、橙月は慌ててそう言った。

すると、橙色の神気弾が爆散し、拡散して小さな神気弾が飛んだ。

「・・・」

魔神テリュスは神気弾を避けながら橙月に向かう。

「とりゃぁぁぁぁ!!!!」

魔剣ラ・ヴィクターを握った魔神テリュスは叫びながら橙月に魔剣ラ・ヴィクターを振った。

魔剣ラ・ヴィクターは橙月を斬り、液状神気が飛び散った。


「・・・」

白いブーツが桟橋に積もった雪を踏む。


「うぅ・・・」

魔神テリュスは頭を押さえて苦しみ始めた。

魔神テリュスが着地すると、紅い稲妻が弾け飛んで香澄に戻った。

(なんだ・・・この倦怠感と胸騒ぎは・・・)

冷や汗を垂らす香澄は息を荒げながら地面に倒れた。


「・・・」

羽織を軽く整えた六合は空に向かって上る翠色の光の柱を見た。


「しっかりしろ!」

香澄を起こすユキュア・ノワールは意識が混濁する香澄を見てそう言うと、風に乗って飛んでいく木の葉を見つめた。

「やったな!」

三葉は拾った神核を見て笑みながら言った。

その時、吹雪に混ざって翠色の雨が降って来た。

「・・・なんじゃ・・・こんな吹雪の中で雨??」

神核を持った三葉は周りを見てそう言った。

「近くの地下墓地に避難しよう」

香澄を抱きかかえたユキュア・ノワールは三葉を見てそう言った。

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