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君は無防備すぎる

2人が寝ようとした頃にはすっかり夜が更けていた。

洞窟の外も砂嵐が吹き始めていて、強い風のせいか少し肌寒い。

なるべく洞窟の奥へ行きそこにシーツを引いた。


「…本当にすみませんリン」

「いえ!大丈夫です、洞窟内ですし火もありますから」


申し訳なさそうに謝るルカ。そう、実はあの時ルカに流れるように連れて来られたせいで大きい荷物は全て宿屋に置きっぱなしにしてしまっていた。今手元にあるのがクラウンに積んでいた毛布1枚と言う心許ない防寒になってしまった。


「と言うか本当に私が使ってしまっていいんですか?この毛布…」

「むしろ使ってください、こうなってしまったのも僕のせいですし」

「…でも、ルカ風邪ひいちゃいますよ」

「…こう見えて身体は頑丈なんです。僕は大丈夫ですから」

「……でも…」


まだ納得のいってない様子のリンにルカは困ったように笑うと手を洞窟の入り口にかざした。


「これで多少は寒さも防げると思います」


魔術陣が浮かぶと洞窟の入り口にバリアのような物が張られた。入り込んでいた冷たい風もなくなりだいぶマシになる。


「寒さ対策ついでに多少の衝撃なら防げるようになっているので安心して寝てください」

「凄い…魔術ってこんなこともできるんですね!」

「まぁ、…風を防ぐだけなので寒さはまだ残ってしまいますが…」

「お気遣いありがとうございます!大丈夫です」

「…さぁ、寝ましょう。何かあれば遠慮なく起こしてくださいね」

「はい!お休みなさいルカ」


久しぶりに誰かにお休みの挨拶をしたな…と少し嬉しく思っていれば、目を細めたルカは少し間を置いてから優しく言葉を紡いだ。


「……お休みなさい、リン」










魔術の炎に照らされた洞窟内。ルカの使った魔術でだいぶマシになったがやはり寒いに代わりはない。


(やっぱりちょっと冷える…ルカは大丈夫かな)


心配になり横を見れば洞窟の天井をじっと見ている彼の姿が目に入る。

_____寒くて寝れないのかもしれない

やはり自分だけ毛布を使うのは申し訳ないと罪悪感がじわじわと押し寄せた。


「……あの、ルカ」

「…どうしました?」

「……こちらに来て一緒に毛布使いませんか?」


ルカはたっぷりの沈黙の後身体をピシリっと固め顔を赤くさせた。


「………………な、っ!?」

「風邪引いてしまうといけないですし、やはり私だけ使うのは気が引けます」


そんなルカの様子を気にも止めていないリンはさぁ、どうぞと自分の隣にスペースを開ければポンポンと叩いた。


「~~〜〜っっ、はぁぁ……」


のそりと起き上がり片手で自身の顔を隠したルカはでかいため息をはいた。

少し眉を寄せてリンを見る。


「……宿屋の時も思いましたが、リン今までよく無事でしたね……」

「?」

「ダメですよ。簡単に一緒に……その、寝ようなんて」

「えっ……ダメでしたか?」


もはやリンの中でルカは安心安全と化していた。元々平和な日本で生まれ育ったこともあり、危機感もなければ元々信じやすい彼女にとって男女のアレコレよりも今は寒さ対策と罪悪感の方が上だった。



「ダ、ダメですよ。元はと言えば…っ僕のせいではありますが、それでも!知り合ったばかりの人と寝るのは危険です」

「?今も寝てますが……と言うかルカは危険なんですか?」

「き、危険じゃないですが…いやそうことじゃなくて!」

「ルカはすごく優しくていい人ですよ!」

「いや違っ……っ〜〜っ、、」


声にならない声を出したあとルカは再度ゆっくりため息をついた。頭を抱え無防備すぎる…とボソリと言葉を漏らす。


「……俺だって男だぞ……」


「?何か言いましたか?」

「………いえ、今一緒にいるのが僕で良かったです」


ルカは首を力なく振ると赤い顔のままそっぽを向いて横になった。するとポツリ、ルカは言葉を漏らす。


「……リンは本当に、不思議な人ですね」

「そんなことないです。私は至って普通の人間ですよ?」

「……いえ、リンは……一緒にいると落ち着きます」

「?」


リンは不思議そうに首を傾げた。


「……何も聞かずにいてくれているでしょう。あんな怪しげな奴らに追われてて巻き込まれたんですから、むしろ聞く権利だってあるはずです。でも聞かずにいてくれる…貴方は何時だって僕の気持ちを優先してくれていますから」

「……誰にでも話たくないことや話ずらいこと、あります。それに…」

「それに?」

「…ルカだって、何も聞かずにいてくれましたから」


魔術がつかえない、ましてや異世界から来ましただなんて絶対信じてもらえないし言える訳がないこと。

最初の頃、この世界について何も知らないことをアルベールも何も聞かずにいてくれていた。それがとても心地よく有難かったから、だからリンもあえてルカに無理に聞きたくはなかったのだ。


「……僕が極悪人だったらどうするんですか?」

「ふふ、極悪人はそんなこと聞きませんよ」


ルカはまだ納得のいっていないような顔でリンを見る。目が合えばリンはフッと優しく笑った。


「確かに少ししか一緒に過ごしていませんが、少なくとも私が見てきたルカは優しくて誠実な人です。」

「……そんなこと、ありませんよ」

「いいえ、いつも真っ直ぐと目を見てくれるルカを信じたいんです」

「!」


横を向けば驚いた顔をしてこちらを見るルカと目が合い、「ほら今も」とリンはゆっくりと目を細めた。


「蔑みでも、哀れみでもない…そんな目を向けてくれたのは貴方が初めてでした。」

「……」

「ルカ、私は貴方に出会えて嬉しいです」

「……っ」


息を詰まらせて、顔を赤くしたルカは早く寝ましょうっと慌ててそっぽを向いた。リンはふふっと笑うと優しい子守唄のような音色でおやすみなさいと言葉を紡いだ。





***


「……ん、」


ぶるり、リンは寒さで目が覚める。

腕を摩りながら少し身体を起こし外を見ればまだ夜更け。魔術で防がれてはいるが強い砂風がバリアを叩き付けている。

寝惚けながら横を見れば背中を向け寝ている彼が目に入り、ああ言ってはいたがやはり寒いのか少し背中を丸めて寝ていた。


(…やっぱり寒かったんだ)


そんな優しい彼を見て、ふふっと笑うとリンは彼の横まで移動し毛布をかけた。

もぞもぞとその隣りに入り込むと、幼い時に母親と一緒に寝た時の事を思い出した。

久しぶりの人の体温に、身も心も温かい気持ちになりながらまた深い眠りへと落ちて行った。


次はルカ視点です。


良ければブクマやいいね下さると励みになります…(更新頑張れる…)宜しくお願いします!

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