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4話

「ジョーカーッ! 後ろッ!!」


 ハンナの声が聞こえ、慌てて俺は後ろを振り返る。完全に俺達の勝利だと思っていた。アレスが俺の前に現れるまでは──。


「呪いの鎧、リリース!」と、俺は瞬時に鎧のスキルを発動する。アレスの攻撃が鎧に当たったが、間一髪、防ぐことが出来た。


 呪いの鎧の能力、それはあらゆる直接攻撃を完全に防ぐ。ただし1回しか発動せず、帰還するまで回復しない。


 だから、二発目が来たらヤバいッ! アレスが俺を攻撃しようと剣を振り上げた瞬間。


「ありったけを食らえッ!! ラスト・インパクトッ!!!」と、ハンナのサポートが入る。


 ハンナのスキルは、必ずクリティカルヒットが出る。だけど回数制限があり30回までと決められている。その制限がある代わりに、使用数が少ない程、威力が増加するという特殊な効果が付与されていた。


 ラストとなれば通常スキル状態の5倍ものダメージを与えられる。当たればただじゃ済まないはずだ。


 ハンナの横払い攻撃はアレスの胴体にヒットする。当然、アレスは吹っ飛んだが──。


「キャ!!」


 アレスは吹き飛ぶ前にハンナを吹き飛ばすぐらいの攻撃をしていた。驚くのはそれだけじゃない──アレスは吹き飛んだ後も、フラつきながらも立ち上がったのだ。


 さすがはS級の探求者……化け物だ。アレスは金色に輝くオーラを纏っている。おそらくダートを捨て石にして、バフを掛けていたのだろう。


 俺達を舐める所か、冷静に観察をしていたんだな……恐ろしいやつだ。


 バフの効果は通常の人間でステータスを2倍まで上げられる。だがアレスは、バフ効果5倍のスキルを持っている。


 つまり! いまのアレスは通常の10倍のステータス状態。デバッファーが居ないと使えない制限付きスキルだから効果が高く、条件が揃ってしまうと実に厄介なスキルだ。


 それなのに俺達は瀕死状態。ハンナのスキルも、もう使えなくなってしまった。潮時か……?


 そう思っていると、アレスは腰に掛けてあった布袋から回復薬を取り出し、飲み始める。


 バフの効果は、最大で10分。そのぐらいあれば、アレスのステータス状態なら、俺達の首をへし折るぐらい簡単にやってのけるだろう。


 ──俺が降参と言おうと口を開いた時、ハンナが俺の腕を引っ張る。


「ジョーカー、諦めるな」

「でも……」

「これを使え」


 ハンナはそう言って、最後の回復薬と聖女の涙を渡してくる。


「いや、回復薬はハンナが使えよ。俺より君の方が戦える」と、言い終わると、アレスの方から視線を感じる。


 俺は咄嗟にアレスの方に視線を向けた。アレスは既に回復薬を飲み終え、何故かこちらをジッと見つめている。


 何故だ? いまのアレスなら、そのやりとりをしている間に攻撃をする事も、宝を持って去る事も出来たはず。


「続けろよ」

「どういう事だよ?」

「俺はお前らみたいな格下相手に、卑怯な真似をしたくないんだ」

「ケッ、相変わらずプライドが高いな」


 でも助かった。


「ハンナ、そういう事で回復薬は君が使ってくれ」

「いやよ。ちゃんと考えがあって言ってるの」

「考え?」

「前から君の呪われた装備、おかしいと思っていた。呪われた装備なのにボスが守っていて、しかも金色の宝箱に入っていたじゃないか?」


 確かに……金色の宝箱は大体、レアアイテムが入っているのが基本。なのに呪われた剣だって金色の宝箱に入っていた。


「もしかして呪いを解けば、覚醒するんじゃない?」

「まさか……」

「今の状況じゃ、どのみちアレスは倒せない。だったら試してみる価値あるんじゃない?」

「──確かに」


 俺はとりあえず回復薬と聖女の涙をハンナから受け取る──回復薬を飲み干すと、アレスに向かって一歩、足を踏み出した。


「作戦が決まったようだな」

「あぁ」

「じゃあ、最後の勝負と行こうかっ!」


 アレスはそう言って、剣を構えた。



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