2.縁結びの試験。
ここまで、オープニング。
次回から色々、動きます!!
「『縁結びの試験』……?」
「うむ、そうだ。私はまだ神様見習いだからな! 試験があるんだ!」
俺と向かい合い、偉そうに胡坐をかく残念美少女はそう言った。
なんでも自分はまだ見習いだから、試験がある。俺には、その試験の手伝いをしてほしい、とのことだった。先日からの急展開連発に、正直なところ頭がついて行かない。
だから、ここは一つずつ紐解いていくことにしよう。
「えっと、その試験って具体的にはどんなもの、なんだ?」
「縁結びの試験だからな、縁をたくさん結べばいい!」
「いや、そりゃそうだろうけども」
俺はあまりにザックリした回答に、思わず肩を落とした
すると、それを見た縁は『仕方ない』といった様子で話し始める。
「そもそも、神様になるためには仮免試験と本免試験があってだな?」
「なにその自動車学校的なシステム」
彼女は手近にあった紙に、ペンを走らせて状況を図解した。
「私は仮免の筆記試験を満点合格して、本免へと進んだわけだ。しかし、なかなか縁を結ぶに至らなくてな。仮免の期限失効まで、もう二年ということになってしまった」
「なるほど……?」
ひとまず、いまの説明を聞いて分かったこと。
それは彼女には時間的猶予が残り少ない、ということだった。そして話の内容から察するに、その期間内に一定数の『縁結び』をしなければならない、ということらしい。
ただ、個人的に気になるのは――。
「でも、どうしてギリギリになるまで放っておいたんだ?」
「………………」
仮にも筆記試験を満点合格した者が、どうしてここまで苦戦したのか。
というか、どうしてこうなるまで放置したのか、だった。
「……縁?」
「ん、あー……いや?」
それを訊ねると、彼女はどこかバツの悪い表情をして頬を掻く。
しかし俺の視線に耐え切れなくなって、こう言うのだった。
「仮免合格してから、ネトゲにハマってしまってな」――と。
…………駄目だ、この神様。
俺は真剣に話を聞いていたのがアホらしくなって、大きくため息をついた。なんというか縁らしい、というか、なんというか。オフ会で会う前も、ドハマりしたものは徹底的にやり込む性格だというのは分かっていた。――が、本職を忘れてまでそれに没頭するとは。
「お前、それで俺に泣きついたのか……」
「仕方ないだろう!? 尚弥しか頼れなかったんだ!!」
そんでもって、ついには人間相手に頭を下げるという。
それは神様としてどうなんだ、と。俺は苦笑いしつつ、もう一つため息をついた。そして、
「まぁ、仕方ないから手伝うか」
そう答えるのだった。
すると縁は驚いたように、目を見開いて言う。
「え、いいのか? 見捨てられる流れかと……」
「いや、状況は変わらないんだから仕方ないだろ。それに――」
呆然とする少女に、俺はこう告げた。
「縁はなんだかんだいって、俺の友達だからな」
「尚弥、お前――」
友人が困っているなら、できる限り手を差し伸べるべきだ。
そう考えて、俺がそう言うと彼女は――。
「お前、いつか詐欺に遭いそうだな」
「……言うに事欠いて、それか?」
相変わらずな態度で、俺のやる気を絶妙に削ぐのだった。
だが、何はともあれ。
そうやって、俺と縁の共闘は始まった。
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