1.居候の可愛い廃人。
次回でオープニングひと段落?かな。
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事の発端となったのは先日、ネトゲでのやり取りからだった。
いつものように学校から帰宅した俺は、日課の周回クエストを行おうとゲーミングパソコンを起動。そして普段通りにゲームにログインした。
すると、いつも一緒にクエストを行っている縁からボイスチャットが入ったのだ。
『あー、あー……聞こえるか?』
「なんだよ、縁がボイチャなんて珍しいな」
『いや、少しばかり困ったことになったというか。頼れる相手が尚弥しかいない、という状況に陥ったというか……?』
「どういう意味だ、それって……?」
俺は何かの冗談と思って聞き流しつつ、周囲に敵がいないか確認する。
すると、そんな時だった。
『オ、オオオオ、オフ会……しないか?』――と。
縁が意を決したように、震えた声でそう言ったのは。
◆
――で、ファミレスの一件に繋がったのである。
そこで俺は、初めて縁が女の子であることを知った。しかしそれにくっついてきた情報の方が、こちらにとっては衝撃だったわけだけど。
「……いや、まさか神様だとか。今でも信じられない」
俺は自宅の鍵を開け、中に入ってからそう呟いた。
改めてになるが、縁はファミレスで自身が神であることをカミングアウトしたのだ。その証拠として様々な物事を言い当て、ファミレスを出た後にも色々と力を見せてくれた。どれも小さなことばかりだったけど、前もって準備しようがないことばかり。
結果として俺は、彼女の言葉を信じるに至ったのだが――。
「それで、どうして俺の部屋にいるんだ。……神様?」
「おー、おかえりー」
――自室へ足を踏み入れると、そこには件の神様がいた。
相も変わらずブカブカ、だぼだぼなジャージを着ている少女は、一心不乱にFPSに勤しんでいる。周囲には飲み物の残骸が転がっており、用意していったカップ麺は手付かずのままだった。どうやら俺が学校に行ってから、ずっとゲームをしていたらしい。
「いや、おかえり、じゃないが?」
「……ん? だったら、なんと言えば良いんだ」
「違うっての! どうして当たり前のように、縁がうちにいるんだよ!!」
だが、俺が全力でツッコんだのはそこでなく。
そもそもとして、何故に彼女が俺の部屋に入り浸っているのか、ということについてだった。昨日はツッコみ損ねたが、今日こそは逃がさない。
そう考え、俺は1試合終わったところを見計らってパソコンを取り上げた。
「むぅ……! なにをする!! 不敬だぞ!?」
「不敬で結構! いいから、そこに座れ!!」
すると縁は精一杯ジャンプをしながら、俺からパソコンを取り返そうとする。
しかし一喝すると観念したようで、思い切り頬を膨らせながら、その場で胡坐をかくのだった。なんともふてぶてしい表情であるが、顔が良いと思ってしまうのが悔しい。
だけど、いまはとにかく話を進めなければならない。
そう思い直して俺は、彼女の前に腰を下ろした。
「それで、どうしてここに?」
「ネット回線が天界よりも良いから」
「……本気で言ってる?」
「冗談だ」
「冗談かよ」
というか、ネット回線って天界にもあるのか。
――じゃなかった。また、縁のペースになるところだった。
「こほん……で、本当のところは?」
俺は咳払いを一つ。
仕切り直すようにそう訊ねた。すると、
「まぁ、隠す必要もないか。元々、頼むつもりだったし」
「頼むって、なにを……?」
少女は深くため息をついて、そう言うのだ。
俺が訊き返すと、彼女はこう続ける。
「……雪代尚弥。お前に、私の試験を手伝ってほしい」――と。
しかし、俺はそれを聞いて首を傾げるしかできなかった。
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