AMUSIC
レビュー執筆日:2021/8/28
●曲調や歌詞の面から幅広い楽曲を取り揃えてポップに響かせるが、良くも悪くも「優等生」的なところが。
【収録曲】
1.Lamp
2.祝祭
3.願い
4.イコール
5.Happy Birthday
6.Jamaica Dynamite
7.白昼夢
8.アルル
9.本音
10.ハイヤーグラウンド
11.惰星のマーチ
12.Late Show
13.わすれもの
14.Traveling
15.絶叫セレナーデ
16.センス・オブ・ワンダー
私はよくアルバムのレビューの際に「音楽性の幅が広い」という表現をよく用いますが、今作もまさにそれに当たると言えるでしょう。『願い』のようなストリングスを取り入れたバラードがある一方で『ハイヤーグラウンド』や『Late Show』のようなハイテンポなロックナンバーもありますし、『Jamaica Dynamite』のような洋楽色が強い楽曲がある一方で『わすれもの』のような90年代のJ-POPを彷彿させる楽曲も収録されています。歌詞に関しても、『Happy Birthday』や『本音』のようにストレートで「ベタ」な点を強調させたものがある一方で、『惰星のマーチ』や『Traveling』のようにネガティブな感情をあえて楽しげに歌ったものもあり、そういった意味の幅広さでもリスナーを飽きさせないようにしている様子がうかがえます。また、今作は「賑やかで明るい雰囲気の『Lamp』で始まり、これまた賑やかな『センス・オブ・ワンダー』で終わる」という構成をとっており、この点から、アルバムという形である種の「エンタメ性の高いショー」を表現しているのではないでしょうか。
ただ、Official髭男dismといい、Mrs. GREEN APPLEといい、幅広い音楽性で一種の「ショー」のような雰囲気を見せるバンド自体はそこまで珍しいわけでもなく、これらのバンドと比べると良くも悪くも「優等生」的で、もう少し彼らならではの「個性」が欲しいところもあります。まあ、それゆえに「人を選ばない」ところがあるのも事実で、ある意味「ポップなアルバム」としては良くできているとは思うのですが。
評価:★★★★