表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感情の色彩  作者: 天桜犀 海陽
1/3

“色”の衝撃

ある日、僕はただいつものように趣味の風景写真をSNSであさっていた時だった。

突然目に入ってきた、今まで見たこともない写真に目を奪われた。


僕の目では見たことのない“なにか”。

世間でいう色がない世界を見続けていた俺の目に飛び込んできた、不思議な写真。


その画像についていたコメントを見てみると、綺麗だ、とか写真の一色だけにするなんて簡単な加工の写真でつまらない、とか賛否両論が飛び交っていた。


俺は、そのコメントを見て、この目を引かれる“なにか”は色というものだと理解した。


――これが色。

見たことのないものに驚き、そして感動して涙がこぼれた。


こぼれた涙をぬぐいながら、その写真を投稿していたアカウントのほかの投稿を見てみた。

すると、すべてのものに見たことのない“色”がついていた。


すべてがきれいで、見とれてしまい、言葉では言い表せないほどの感動を覚えた。


僕はそのアカウントが登校している写真を見て、すべてが感情をタイトルとするものしかないことに気づいた。

もし、感情を色で表したらこんな色なんだ、すてきだなと感じた。


それから、僕は何日もこの“色”のついた写真を毎日見続けた。

そして、写真を見ているうちに、僕はこの写真の町を実際に見てみたいと思うようになった。


たとえ、自分が見たとしても、この色がついた状態ではないということはわかっていても、どうしても見てみたいと思ったのだ。


探してみれば、ネットの普及したこの時代では見つかるのは簡単で、自分の住んでいる地域からはかなり離れたところにある町だということが分かった。


場所がわかってしまえば、見てみたい気持ちもどんどん強くなっていった。

強くなるが、いけないという事実にもどかしさを感じるほどだった。


そんな日を過ごして何か月か経った頃、夏休みが近づいてきた。


そうだ、夏休みを使ってあの写真の町へ行こう!

思い立ったが吉日とばかりに、親へこの町へ行きたいとお願いをした。


普段はどこかに出かけたいということが少ない僕の提案に、両親は驚いたが、珍しいお願いだということで、その町へ行くことを許可してくれた。


ただ、一人で行くのではなく、家族旅行としていくこととなった。


それでも、行けることがうれしくて、僕は早く夏休みにならないかとその日から毎日、旅行の日までを数えることが新しい楽しみの一つとして増えた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ