九十八夜、叔母さん家の日々 27 新しい世界 13
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「・・・・・・」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、小学校の頃のことだけれど・・・
だんだんじいじにも夜の追跡ハイクが解ってきて、少しづつ余裕が出来てきたよ。最初は怖かったけど胸がドキドキするのが収まってきてた。
そうすると周りのいろんなものが見えてくるし、風の音なんかも聞こえるようになってくる。耳を澄ますと先に出発してた人たちの声がわずかに聞こえてくる。迷っているのか相談しているようだったよ。
今は冬だけど、秋や春先だったらもっと虫の声や、花の香りがするのかなって考えながらあとをついて行ったよ。
そんな時だったよ。
ふと空を見上げたんだよね。
そこは一面星空だった。
今は冬だし、山に入って町の光はここまで届いていなかった。
身を切るようではなかったけれど空気は澄んでいたし、何より夕方西の空に浮かんでいた月も今はすっかり見えなくなっていた。
歩きながらチラチラ見ていたよ。するとなんだか見たような星が眼に飛び込んできたんだよね。いつだったか、たぶんだいぶ昔だったような気がしたよ。
やっぱりその時も寒い時期だったようで、空気が澄んでいたようだったよ。青い星々がたくさん寄り合って美しかったように思う。
この時はそれで終わってしまったんだけど心の中にずっと残ったんだよね。
じいじの班はあんまり前の班に近づかないようにしながら追跡ハイクを続けたよ。昼間の明るい所でする追跡ハイクに比べると目印が限られるので、慣れてしまえばそんなに難しくなかったよ。それに危険なところに近づくと危ないので、変なところには入り込まなかったしね。手紙も解り易い所にあったし、お使いも簡単だったよ。だからみんな楽しんで夜のお散歩をしてたみたいだよ。
そのあとは何事もなくゴールして、じいじの班の成績もソコソコで、まあこんなもんだろうねってことだったよ。
テントに帰ってからいろいろ話をしたけど、じいじと一緒に入った人は同じように最初は怖かったけどそのうち慣れてきたって言ってたよ。でも、一人で夜になってから散歩には出たくないって言ってた。怖くはないけど気持ちが悪いっていうけどどう違うのかね、謎だよ。
それで、先輩に今日見た星空のことを聞いてみたんだけど、知ってる人はいなかったよ。あんまり興味がなかったみたいだった。
それよりこっちを覚えろって、北斗七星やカシオペア座から北極星をみつける方法を教えてくれたよ。
そして夜は更けていって、寝袋の中で丸くなって寒さを感じながら寝たんだよね。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
冬のキャンプなんて考えただけで風邪ひきそうです。




