八十八夜、叔母さん家の日々 22 新しい世界 8
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「・・・・・・」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、小学校の頃のことだけれど・・・
各班が夕食の支度をしている最中だったよ。近くに溜池があったんだけどその近くにテントを張っていた班で事故が起こってしまったんだよ。
じいじたちと同じ時に入った人なんだけど、お味噌汁やお茶なんかに使うお湯を沸かしていたんだよね。飯盒の中蓋を取ったものにお水を入れて沸かしていた。たまたまその時に火の側に誰もいなかったのでその人が飯盒を降ろそうとしたらしいよ。
二つ掛かっていて重そうだったので、もうひとりのこれも新しく入った人を呼んで降ろそうとしたんだよ。普通は必ず二人で降ろさないと危ないのでその人も言われていたとおりに二人で協力して降ろそうとしたんだよ。
横木は生木の枝を払って水につけて使うのだけど、だから枝の跡がごつごつ出ていてちょうど飯盒の取っ手が引っかかる様になっているんだよ。それでそのまま引き上げて下におろせば何も問題なく引き抜いて飯盒から外せるんだけど、その時はたまたま二つある跡のそれぞれ内側に掛かってなくて片方は跡の瘤の外側に掛かっていたんだそうだよ。経験者ならなんでもない事なんだけど、その人は気が付かなくて、そのまま持ち上げて火から降ろして平らなところに置こうとしたんだよ。
二人で同じものを持ち上げる時には掛け声をかけて一緒になるようにしないと重くて持ち上がらないことがあるし、手を挟んだり、物が落ちたりするから気を付けないといけないんだけど。その時は掛け声でタイミングを合わせてなかったので飯盒が動き出したらしいよ。先にあげた人が下すか、後にあげた人が気を付けて急いであげればたぶんよかったんだと思うけど、慌てたその人は火から離れたところに移動しながら降ろした。
なので、勢いのついた飯盒が地面にぶつかって、加えて蓋が緩くて外れやすかったことが災いして、お湯が自分の足に掛かってしまったんだよ。
すぐ近くに溜池があったので、すぐにそのまま足を水に浸けて冷やして、その間に指導者のお兄さんに報告してもらったそうだよ。
まだ、水や材料を運んできた車が残っていたので、クーラーボックスの氷ですぐに冷やしながら病院へ治療に行ったよ。幸い、ひどい事にはならなかったらしかった。
キャンプのあとで注意があったのだけど、火とお湯など熱いものには特に注意してまだ慣れていない人は必ず先輩と一緒に作業することを言われたよ。
ほんの些細なことでも二つも三つも重なると大きな結果が出ることがある。良い事なら歓迎だけど、悪いことが起きてしまうと取り返しが出来ないからね。気をつけないとね。
ともかく、その日はその後何事もなく進んでいったよ。
一人でする仕事はペースを決められるけれど、二人以上の場合はリーダーが掛け声をかけることが大切なことなんですね。




