八十四夜、叔母さん家の日々 20 新しい世界 6
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「・・・・・・」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、小学校の頃のことだけれど・・・
夏休みの最初の頃じゃなかったかな。ひょっとするともう中学生になっていたかもしれないね。最初に誓いなんかをみんなの前で暗唱したのは小学校だったと思うけど、キャンプに初めて行ったのがどっちだったかよく覚えていないな。たぶん小学生の時だったと思うよ。ううん、今一つはっきりしないなー。
ま、とりあえず、この頃に初めてのキャンプに行ったんだよ。遠い所じゃなかったよ。海岸にある松林の中だったかな?
新しく入った人たち向けの慣らし運転みたいで、キャンプがどんなものなのか見てもらうことが主だったかもしれない。だから、キャンプとはいえ、テントを全員分張って、そこで泊まったりはなかったと思うよ。
はっきりしないけど、先輩たちがひとつテントを張ってじいじたちは周りで見学していて、指示があれば手伝ったりしていたと思うよ。その後、各自が用意した装備の点検をして、使ってみることになった。飯盒にお米を入れて本格的に炊いてみる人や、お湯を沸かしてお茶を作る人、みそ汁を作る人、それぞれ先輩がついて、事細かく指導してくれたよ。飯盒の上蓋で炒め物をしたり、その時に使う薪や、燃料になるものを用意する人、珍しいポリタンクに水を汲みに行ったりいろいろ手分けして進めていったよ。
それまでには、研修らしきことがあったけど、自分の装備で、実際に使ってみると感じが全く違っていたよ。くっついて歩いて見ているだけと、実際に使うとの違いだろうけど、あーやってるなーって感じがしてまた格別だったよ。
ご飯を炊いても、火が強すぎて吹き零したり、火力が足りなくて何時まで経っても生煮えで、お米に芯が残ってしまったり、散々だったよ。
みそ汁は吹き零して半分くらいになったり、お茶はグラグラ湧いてしまって、蓋が取れなくて、麦茶が入れられなくなったり、蓋を取って麦茶を入れる時に一緒に薪の灰が入ってしまって、麦茶なのか灰茶なのかわからなくなったよ。
飯盒のふたで炒め物をした人は、軍手で取っ手を持っていたけど、水でぬらさなかったから、手袋に火がついて、その際に手を離したから、炒め物はすべて火の中に落ちた。そして、蓋はしっかり焦げて、何年も使い込んだみたいに貫禄が出たよ。
いろいろなことが起きて、今年が特に変なことが起きたわけじゃなくて、毎年同じことが起きているってことを聞いてみんな安心したよ。
新入り〇カウトたちはギャーギャー騒ぎながら慌てていたけど、さすがに先輩たちは落ち着いていて、おかげで、けがをした人は一人もいなかった。
そして、自分たちの作ったご飯とも言えないような、「何か」をみんなで食べて、後かたずけを済ませて終了となったよ。経験がものを言うっていうことを思い知らされた一日だったよ。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
ドタバタ劇でした。次のじいじは別のキャンプの話になる予定です。お楽しみに。




