七十四夜、叔母さん家の日々 15 新しい世界 1
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「・・・・・・」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、小学校の頃のことだけれど・・・
何がどういうことになってこうなったかわからないけれども、じいじはボーイ〇カウトに入ることになってしまったよ。じいじはボーイ〇カウトっていうのがどんなものなのか全く知らなかったし、入りたいなんてひと言も言ったことがなかったよ。だから、どうしてこうなったって今になって思うことがあるよ。
たぶんだけど、上の叔母さんがじいじの行動を見ていて、こうしたきちんとした組織に入れて生活態度や考え方にテコ入れをしようと画策したんではないだろうかって思うよ。それほどまでにこの組織は世界的であり、日本の組織もきちんとしていて、言わば、ちょっとレベルの高いグレードの子弟たちが入るようなイメージがあったよ。世のお母さん方が一度は自分の子供をこれに入れて貰って正しい方向に向かうように指導してもらいたいと考える組織だった。もちろん、じいじにはそんな事が解るわけもなく、ただ、あれ?って思ってたよ。
まだ、年齢が下の子供たちは、カブ〇カウト、いわゆる女の子たちはガール〇カウトという組織があって、それぞれに独自の活動をしているらしかったよ。これらも後になって分かったことで、入った当時は何が何だかわからなかっただけだったけどね。
なんだかわからないうちに、制服を揃えて、装備を揃えて、姿だけは一人前になったよ。
本当ならば、カブ〇カウトから移行するのがふつうらしくてじいじみたいにいきなり入ってくるのは少数派だったようだ。ほかの人たちは当然のように三つの誓いやたくさんの掟をスラスラと暗唱できて何でもないように普通に活動していたよ。
じいじは誓いも掟も、その他、ロープのいろいろな結び方もけがの応急手当法なども全く分からずで、ついて行けなかったよ。小さな冊子に説明などが載っていたけれど、一人で学んでいくこともなかった。たぶん、指導者のお兄さんから見れば、お荷物のほかに言いようのない子供だったと思うよ。
事実、正式な入団式の時にちゃんと暗唱しなければならない誓いも掟も、覚えられなくて指導者のお兄さんが、叔母さん家に来て、他にもあるいろいろな必要知識を個人指導してくれた。
そのうえでようやく三つの誓いを先輩スカウトの皆さんの前で暗唱できて入団が許された有様だったよ。
制服だけはまっさらで、頭の中もまっさらだったじいじは違和感の中、仲間について行くことになったんだよ。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
いきなり世界が変わったり価値観が異なるところに放り込まれるとじいじみたいな感覚になるのでしょうか。




