七十三夜、ばあばの中学生生活 23 叔母さん家の水害
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「・・・・・・」
そうだねえ、じゃあ、ばあばが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、中学校の頃のことだけれど・・・
毎年一度か二度は訪れるお墓参りだったけど今年はもう一度行くことになったさ。
叔母さんの家が大雨で増水した川の決壊で床上浸水になったために後かたずけとその後の手続きのお手伝いに急遽行くことになったんだよね。
その年は例年になく雨の多い年でばあばたちの住んでいる町でも崖崩れが起きたところもあったようだよ。叔母さんが住んでいる町は町の真ん中に大きな川が流れていて、毎年夏になると河川敷で花火大会が催される。今から比べるとそんなに大きな花火大会でもなかったけど、お盆近くになると恒例で、近隣の町や村から見物に来るような規模だったさ。
ところがこの年は水害があったことでそれどころではなくて町の商工会や商店街、いろんな工場から寄付を集めて開催する目途が立たないために中止になった。
叔母さんの家も川の近くだったこともあって床上浸水の被害を受けたよ。命には別状なかったのだけれど女手ばかりだったために畳やタンスなどを上げたり、移動したりできなかったために被害は大きかったさ。
それで、時期的には早いのだけどお盆のお墓参りも兼ねてお手伝いに行くことになった。
また、遠い遠いおばさんの家まで車に揺られていったさ。新しいお母さんも手伝うっていうので一緒に行くことになった。でも、本当に遠いのでさすがに愚痴が零れるのは仕方がないよね。
たどり着いても、一休みするまもなく床下から泥を掻き出す作業やら、畳を使えるものと使えないものと点検、選別したり、使えるものを天日に当てて干したりが始まったよ。使えないものは指定された場所まで運んで捨てて、その分を畳屋さんに頼んで作ってもらわなくちゃならない。どこもかしこも被害を受けているので頼んでもいつ出来上がるかわからない状態で、もう、じっと我慢するしかなかったさ。
後かたずけは順調に進んでいったけど、そこで叔母さんがこのままここに住むのが怖いって言いだして、再三こんなことが起こるのは詮無いし、その度ごとにばあばたちに片づけを手伝ってもらうわけにもいかないってことだったよ。
で、高台にいいところがないか探してみることになったさ。農地に農業をする前提で家を建てることが出来る事が解って、農業用地を含めて畑の一区画を融通してもらうことが出来たみたいで叔母さんは喜んでいたさ。それで、今住んでいる土地を売り払い、新しい所に農業用倉庫を含めて家を建てることになったよ。
これで、ひとまず話を進めて新築できるまでアパート暮らしをすることになったよ。じゃあ、今のところは本気で後かたずけをしなくてもいいってことになって、あれよあれよっていう間に話が進んでいったさ。
以前商売をしていたお父さんがいなかったらこれほど早くに話が進むことはなかったろうね。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
それこそ、叔母さんでさえこんなに早く話がまとまるとは思ってなかったらしいです。あとは不動産屋さん任せになりますが、ばあばのお父さんの知り合いだったらしくて信頼できそうですね。




