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六十九夜、ばあばの中学生生活 21 お母さんとタコ釣りへ

今日は、ばあばの番です。

 眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?

 「・・・・・・」

 そうだねえ、じゃあ、ばあばが子供の頃のお話をしようかねえ。


 まだ、中学校の頃のことだけれど・・・

 今、急に思いだしたんだけど、新しいお母さんがまだ市場で事務の仕事をしていた頃だったよ。そこで慰安旅行があって、ばあばもそれについて行ったことがあった。

 前の日に出て、その日は観光を兼ねて食事をしたよ。それで、その日の晩は船宿で泊まって、翌朝早くに船で沖に出てタコ釣りをすることになってたよ。

 朝五時から船に乗ってみんなで沖に出ることになっていた。だから、食事もソコソコ、みんな早くに休んで、あくる日に備えていたさ。中にはそんなことはお構いなく、近くの飲み屋さんに行って、わいわい騒いでいた人たちもいたけどね。

 寝坊して遅れる人もいなくて、みんな揃って船に乗ることになったさ。

 けど、ばあばが思ってたより船が小さくて、ばあばはとても全員一緒には乗れないって思ったよ。でも、大人の人たちはそんなことお構いなしにどんどん乗り込んでくる。

 とりあえず、みんな乗れればいいってことか、船長さんも何も言わなかったよ。二十人は乗っていたかな。ばあばは怖くなって、ちょうどスイカのビーチボールを持っていたので、急いで膨らませたさ。

 ほとんど無理やりに詰め込んで乗って、いざ出発。これで、タコ釣りができるのかなって思ったけど、みんなガヤガヤ笑いながら話していたので、ばあばはビーチボールを抱いてお母さんのそばにくっついてたさ。

 ポンポンポンってエンジンをかけて進みだして、しばらくしてひっくり返ったよ。あっという間だったさ。

 船に乗っていた人全員放り出されてみんな水の中だよ。ばあばも、お母さんも、会社の人たちも。

 ばあばはビーチボールを持っていたので、すぐに浮いたのだけど、他の男の人たちは海の底に足が届かないのかバタバタ暴れてる人もたくさんいたよ。お母さんは泳げたので、すぐに海岸のほうへ泳いで避難していたさ。

 ばあばのすぐ近くの男の人が、溺れそうになったのか、ばあばの首に後ろからしがみ付いてきたよ。ばあばは息が出来なくなって、必死にビーチボールにつかまっていたけど、だんだん力が抜けて来たさ。

 そのうちしがみ付いてきた男の人が落ち着いてきたのか、腕を離して海岸のほうへ泳いでいったさ。

 それでばあばは手を放さずに済んだから海岸のほうへ泳いでいったよ。もうダメって思ってたよ。その時、本気でお父さんサヨナラって思ったさ。

 そのあと、海岸でたき火を熾して服を乾かしたり、冷えてしまった体を温めたりしたよ。散々だったね。

 あとでお父さんにその時のことを話したら、おとうさんもその日の明け方変な夢を見たって話してくれた。きっと、ばあばの気持ちが伝わったのかね。


 おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。

いやー、危なかったですね。今は乗船定員や救命胴衣が義務づけられていますから、こんなことは起きません・・・から。たぶん。


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