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六十四夜、叔母さん家の日々 10 非行少年脱落

今日は、じいじの番です。

 眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?

 「・・・・・・」

 そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。


 まだ、小学校の頃のことだけれど・・・

 隣のお兄さんとの交際禁止については守られるはずもなく、表立っては遊んでいないことになっていたけどね。年上の人はその分だけ色々なことを知っているわけだし、遊びも面白くなる。少しぐらい危険なことも、知っているし、経験もあるらしく対処法も抜け目ない。

 じいじが土管にはまって出られなくなったことなんかは、当然知っていたらしく、にやにや笑いながら見ていたのだろうと思うよ。家のすぐ近くなので当然叔母さんが駆けつけてくるわけだから、慌てて助け出すことも必要ないし、自分で勝手に入ったのだしね、責任はない。ただし、入ってみろよ、って言いつけて出られなくなったならもう少し慌てたのかもしれなかったけど。

 お兄さんの方も堂々としていて、呼びに来るでなし、仲間と一緒に遊んでいるわけで、そこに誰が来ようと知ったことじゃない。

 ただ、じいじは面白くて、わずかばかりの背伸びがうれしくてあとを追いかけていた。

 

 少し離れたところに工場があって、何に使うのか大きな瓶が土中に埋めてあった。中には何も入ってなくて誰かがいつも遊んでいたのか棒切れやお菓子の袋なんかが落ちている。落とし穴のように土に埋めてあるわけでなく、じいじの腰のあたりよりも少し高い縁が出ていて、うまく覗き込めるような風になっていた。

 それが横一列に六個ばかり並んでいる。その時は六人の頭数でそこまで来ていた。じゃあ、みんなしてこれに一人づつはいって遊ぼうってことになったよ。瓶は皆ほとんど同じ大きさで、誰が何処に入っても同じだった。みんな各自それぞれ好きな瓶に入っていったので、じいじも一番近くにある瓶に入っていったよ。

 中から上を見るとポッカリまるい空が見える。そのまるい空の中を雲がゆっくり動き、たまに鳥が横切ることがある。ちょうど耳に真綿の耳栓を詰めたようなおかしな音が籠った空間に、じいじは瓶の壁にもたれてぼんやりしていた。

 瓶の中は静かで、一人で声を出しても少し音が割れたように聞こえるだけで隣には聞こえない。隣の音も聞こえない。少し狭くなった入り口の上を吹く風がごわんごわんと響いて何か不思議な世界に紛れ込んでしまったようだったよ。

 瓶の中で眠気を感じてぼんやりしていたのだけど、あんまり静かなのでほかの瓶を覗いてみることにしたよ。瓶の中には入り口には届かないけれど、交差させたり組み合わせれば十分に外に出られる棒が置いてあった。じいじが小学生でもなんとか出ることは難しくなかったよ。

 ゴソゴソ棒切れをよじ登って、最後の狭くなった入り口に手をかけて、よっこらしょって外に出た。外の風は気持ちよく、ごわんごわんしていた風の音も枝を吹き渡る音を取り戻したよ。

 他の瓶を覗いてみたよ。

 じいじは一人取り残されていた。

 みんなどこかに行ってしまっていたわけだよ。たぶんだけど、邪魔だったんだろうね。それとも、危ないことをやりに行ってしまったんだろうかね。

 そんなことがニ、三度続いて自然とじいじはついて歩く事がなくなったよ。かくれんぼで探してもらえずに放り出されたりしてね。

 ちびが付きまとうと、うっとおしいこともあるよね。とくにうるさい家の子なんかがね。


 おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。

相手にされないのもつらいですけど、邪魔にされたり、無視されるのもつらいですよね。私はする側には加わりません、キッパリ!

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