六十夜、叔母さん家の日々 8 缶蹴り 2
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「・・・・・・」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、小学校の頃のことだけれど・・・
一緒に遊ぶ人数が増えたことで、遊びの幅が広がったんだよ。外遊びで参加してる人の数が少ないのは面白くないことの理由になる原因の一番になるよね。
それでじいじも、張り切っていいところを見せようと缶を蹴ってやろうとして考えたよ。近くでいい所に隠れるところはないかな。あまり遠くになると走ってるうちに見つかって、名前を呼ばれて、缶!、って言われると鬼のところに行って、近くの木や、学校なら壁やブランコ、鉄棒などにつかまって、つかまった人が数珠つなぎに連なって、誰か助けに来て缶を蹴ってもらわないと最初につかまった人が次の鬼になる。
だから、じいじはいろいろ考えたよ。
ふと見ると、五メートルくらい離れたところに大きな土管が置いてあるのに気が付いたんだよ。大きいけど人がゆっくり入れるほどではなくて、なんでこんなところにあるのかな?って思うくらいに中途半端な大きさだったよ。
でも、よくよく観察してみると、じいじならちょっと無理したら中に隠れられるかもしれない。よし、今度缶を蹴られたら、よく見て入られそうなら中に隠れようって思ったね。そうしたら、友達のお兄さんが缶を蹴って、つかまってた人がみんな逃げだしたよ。じいじは、真っ先に土管のところに走ったよ。
覗いてみると、中はきれいで、狭いけどじいじなら隠れられそうだったよ。土管は立ててあって、鬼の居るところからは中を見られることはなさそうだった。よし!じいじは急いで鬼が缶をもって還って決められた場所において、缶!、って宣言する前に隠れてしまおうとよじ登って中に入ったよ。
狭かったけど中で半座りになれば頭まですっぽり中に入れたよ。確かに膝がつかえたけど気にならなかった。
中で息を殺していると、鬼が缶を見つけて帰ってきて、缶の上に足をのっけて軽く踏んで、缶!、って宣言したよ。どうやら見つからずに隠れられたようだった。あとはここでじっとしててみんなが捕まったら、そっと覗いて様子を見て、鬼が捜しに出たところで飛び出してみんなを助けるために、缶を蹴るだけだったよ。
一人、二人って名前を呼ばれて、缶!、ってつかまって、そろそろじいじが出ていって缶を思い切って蹴飛ばして、みんなを助けてあげなくちゃって思ったよ。でも、もう少し、たぶんあと二人が隠れているから、もう一人捕まったら出ていくぞ!
もうそろそろ鬼が捜しに行って、いない時を見とかないといけないな。でもまだみんなのそばにいる時に顔を出しちゃうとここにいることがばれちゃうといけないから、少し静かになってからにするか?
散々迷いながら、隠れていて、そうするうちにおしっこに行きたくなってきたんだよ。ああ、もういいか、良し覗いてみるぞ。
じいじがそっと土管の中から顔を出して覗こうとした。その時気が付いたんだよね。
ひざと背中が土管に引っかかって、ってか、つっかえて立てないんだよ。
え! とたんに事の深刻さに気が付いたっていうか、なにこれ? なんで?
あとは、従姉弟が叔母さんを呼びに行って、叔母さんが土管を倒して、頭から押して出してくれるまで、ずっと泣いてたよ。パンツもズボンもビショビショに濡れてたしね。
狭いとこに入り込むのはよく考えてね。出られなくなるぞ、今日のじいじの教訓です。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
じいじが脱出出来てよかったなって思う前に、それまでのあだ名がどんなことになったか、どんなあだ名に変わったかが心配になりました。怖くて聞けませんでしたが。




