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五百五十四夜、じいじの高校生生活 206 お母さんの家へ 73 義父 43

今日は、じいじの番です。

 眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?

「・・・・・・」

 そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。


 まだ、高校生の頃のことだけれど・・・

 お母さんとじいじは裏路地を歩いていく。まだこの頃には、街路灯などはメイン道路にしかなくて、裏路地にはところどころに裸電球がアルミで出来た丸いお皿のような傘の下で、ぼんやりと光っているだけだ。まだ、街だから曲がりなりにも電燈が付いているのだけれど、じいじが住んで居る辺りの町では、曲がり角にポツンと電球が付いているだけになる。それも、付いているだけで、灯っていないことがたびたびになる。

 町内で、一応管理がされているはずなのだけれど、町や村では電球が切れたからといってもおいそれと交換の電球が補給されることはないのかもしれない。中には悪い人も居て、自分の家の電球が切れたからといって、こっそりと切れた電球と交換して自分の家用に持って行ってしまう人も居るって聞いたことがある。それで、ますます電球が切れているところが増えることになる。

 さすがに街ではそんなことはないのだと信じたいのだけれど、じいじが見まわしたところでは、あちこち、電球のない所もあるようだ。

 街の中なので、道に大きな穴が開いていることはないのだけれど、暗くなってくると足元が危なくなる。小さな穴でも、がくんと踏み外して転びそうになることだってあるのだから。

 ここに来た頃には、まだ足元が不安になるほどではなかったのだけれど、今では、だいぶん暗くなってきている。じいじは、お母さんの手を握って恐る恐るの格好で歩いていく。

 裏路地を歩いていたじいじとお母さんは、いきなり照明の中に出た。目の前には大きなビルが姿を現して、道路には自動車が走っている。少し先の大きな交差点では、お巡りさんが手信号で車の進行の誘導をしている。じいじにはその姿が、なんだか体操をしているか、踊りを踊っているように見える。

 もちろん、ホイッスルを吹きながら手信号をするのだから、体操や、踊りに見えてはいけないんだろうけれど、こういう誘導をしている姿を、じいじが住んでいるところでは、ついぞ見たことがない。だから、じいじは油断すると、交差点の真ん中で手信号をしているおまわりさんの姿を見つめてしまうので、道の凸凹に躓いてしまいそうになる。その度に、お母さんの手にぶら下がることになる。


 おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。

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