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五十四夜、叔母さん家の日々 5 ザリガニ取り

今日は、じいじの番です。

 眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?

 「・・・・・・」

 そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。


 まだ、小学校の頃のことだけれど・・・

 叔母さんの家の裏には田んぼが広がってるんだけど、そこで友達とザリガニ取りをしたんだよ。詳しくは知らないけど、ザリガニには二種類あって、日本にもともといたものと、アメリカザリガニっていう赤いものがいるんだよね。

 じいじたちが捕まえたのはアメリカザリガニっていう方だよ。ハッキリはしないけど、昔の人が、食用にしようとアメリカから取り寄せて養殖したのが始まりらしい。確かに体が大きいので食べる時には都合がよくて、身もたくさんあるので無駄がないかもしれないね。

 田んぼにいたものは、穴を掘ってその中に住んでいて、また田植えの時に水を張ると出てきて、それで植えた稲の苗を浮かせてしまったり、根を痛めたりするのでいないほうがいいみたいだったよ。せっかく食用にするために連れてこられて役に立てずに、逃げ出して増えると嫌われるのは、なんだよこれってことになるよね。

 それでじいじたちは、田んぼに水が入って、穴から出てきたところを捕まえるって寸法さ。そのままほっておくと、どんどん増えるから、少しでも少なくして、悪さをするのを防ぎたいわけさ。

 狭い所にたくさん集まると、相当被害が出て、せっかく田植えをしても浮いたところをまた植えなおしたり大変だからね。根を痛められた稲が、成長が遅れたり、止まってしまったりするのを植えなおしたり取り除いたりするのが広い田んぼでは何度もできないからね。

 じいじたちは片手にタモを持ち、(タモと言うのは昆虫用の目の細かい網ではなくて、小魚なんかを取る水の中で使う網のこと)片手にバケツを持って、田に入るわけさ。長靴なんかは脱げちゃうから使わない。裸足でどんどん入っていくんだよ。

 それで、水の中にいるアメリカザリガニを見つけて、手やタモで掬ってとる。体が赤いし、近ずくと両方のはさみを広げて威嚇してくるので、捕まえるのは簡単だよ。そうして、一日中田んぼの中をうろうろするわけさ。

 一日田んぼの中にいると、大きなバケツの中に半分くらいは捕まえられて、がさがさ動き回ってる。

 ただ、近頃の田んぼと違って、この頃はいい農薬がなかったから、田んぼの水の中にはヒルがいてね。これは、始末が悪くて、知らないうちに足の柔らかい所に引っ付いて血を吸うんだよ。水の中にいる時は細くて長いミミズみたいなんだけど、皮膚にくっついて血を吸うと平たくて、太い姿になって、べったりとくっついている。赤紫っぽい焦げ茶色で縦じまがある。気が付かないうちに血を吸われると、急に痒くなってきて、ぬめぬめして取れないし、取った後もしばらくは血が止まらないんだよ。痒くて掻きたいんだけど、血が出てるから掻けないし、だんだん痛痒くなってくる。

 農家の人は、田に入る時は厚手のモンペ(ちょうどお坊さんの履く作務衣の下履きみたい、足首にゴムがついて締まっている)のうえから脚絆(簡単なものは、地下足袋の上から膝近くまで袋をかぶせけがや、ヒルなどを防ぐ)を付けて、手には手甲(脚絆の腕用)を付けてけがや虫の被害を防いでいたんだよ。

 じいじたちはそんなものないから、虫や、ヒルの攻撃を縫ってザリガニ取りをするわけさ。


 おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。

 

ザリガニ取りは書くこともないかと思っていましたが、昔の道具や、衣装などが解らない、と言う事が解って、ちょっと解説したら、全体に増えてしまいました。

ザリガニ編はもう一度続きます。

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