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五百三夜、ばあばの洋裁学園生活 185 母の職場復帰 21 初日 17

今日は、ばあばの番です。

 眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?

「・・・・・・」

 そうだねえ、じゃあ、ばあばが子供の頃のお話をしようかねえ。


 まだ、洋裁学園の頃のことだけれど・・・

 お父さんはいつものように、瓶ビールをコップに注いでごくごくと一気にのどを潤していく。この最初のコップ一杯については、この一気飲みに限るっていつも言う。本当に心からそう思っているのは間違いないのだろう。けれど心のどこかには、これって止めた方がいいのかなって思っている節がある。

 なぜこんなことを言うのかって言うと、以前お母さんがお父さんの体を心配するあまり、一気飲みは体に悪いって言ったことがある。そのために、気にしているのかもしれない。

 一時期、大学生などが、雰囲気にのまれて、今までに飲んだことがないほどの量を一気に飲んだ結果、急性アルコール中毒になって倒れて、救急車で病院へ運び込まれることが相次いだことがある。それだけで済めばいいのだけれど、中には不幸にも、人生とも「さよなら」になってしまうことが起きてしまった。

 お母さんも、ばあばも、お父さんがそんなことになるって思ってはいないのだけれど、お父さんの方は気が小さいのか、ちょっとしたことを気にすることがあるようだ。大体、お父さんが毎回飲むのはビール一本だけ。大学生たちが急性アルコール中毒になったのは、大ジョッキに何杯もの量を一気に飲んでいる結果だ。比べるまでもないよね。

 まだこの頃には、「一気!一気!」という掛け声は広まってなかったので、そんなに何度も一気飲みすることがなかった。ごくごくとジョッキのビールを飲み切ってしまうと、オジサマ方から、

「オー!やるね~~~」

とか言われるのが関の山だったさ。

 それからは、適当に自分のペースに合わせた飲み方でお付き合いがされて行く。飲むことが主にならずに、話すことが主なのだから、それは納得できることだよね。

 かえってがぶがぶ飲み続ければ、それは下品だと判断されることを覚悟しなければならない。そんなに飲みたければ、家で飲んでくれ! ってことで、お付き合いが狭くなる心配をしなければならないほどだ。それに、ビールなどはまだまだ価格的には中級から高級に位置していたように思う。

 本格的に飲みたいのならば、焼酎や、日本酒が選ばれる。日本酒なら二級酒が選ばれることが多い。味よりも酔いたいっていう人にとっては、迷うこともない。

 その意味では、お父さんはこの頃にしてみれば、まあまあお洒落って言えるかもしれないね。


 おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。

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