四十九夜、ばあばの中学生生活 11 頑張りに感心したこと
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「・・・・・・」
そうだねえ、じゃあ、ばあばが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、中学校の頃のことだけれど・・・
ばあばはね、小学校にいる時から不思議に思ってたことがあってね、いつもそれがあるとなんでこんなことするのかなって思ってたんだよ。
身体計測の時に身長や体重なんかと一緒に、視力検査があるでしょ。その時に一緒にするのが名前は忘れたけど、たぶん、目の見え方を検査するんだと思うけど小さな本を開けると、いろんな色でできた大小さまざまな水玉模様で絵が描いてあってね。数字や、形、例えば、ちょうちょみたいな形や、もう二・三種類あったかな、を見るんだよ。それで先生が、なんて書いてある? どんな形? なんて聞いて、自分が見えた形や、数字を答える。
大体みんな、同じ答えだったらしくて、何のことだったのか誰も知らなかったし、ばあばもわからなかったんだよ。
中学校に入ってから、初めての美術の時間だったと思うんだけど、みんなで学校内でスケッチをすることになってね。それを薄く彩色して水彩画の作品を書くことになったんだよ。
ばあばはあまり得意じゃなかったけどソコソコの仕上がりはしてたと思うよ。ほかの人たちもそれぞれ仕上げていたよ。
中学校はほかの小学校の人たちも一緒になっていたので、見かけない人も一緒に書いていたんだよ。それぞれ初めての授業だからみんな頑張っていたんだと思うよ。やっぱり、新しく顔を合わせたからには自分のことを知ってもらいたいし、いいところを見せたいじゃない。
その中に一人特別な人が居たよ。その人の絵を見た時、すごいって思ったよ。校舎も、並木道も、歩いてる人たちの姿も、きちんとかけてて、ばあばにはとても書けない腕前だったよ。
ただ、一つだけほかの人たちとは違うことがあったよ。
画面一面、赤一色だった。
なんで? どうしたの? わざと書いたの? これから仕上げていくの?
彼は悲しそうに、僕は、色の見分けが出来ないんだよ、って。
箱に入っているチューブ入りの水彩絵の具はみんな同じ色に見える。だから絵を描いた時に、赤も緑も、他の色も、同じに見えるって言ったんだよ。
その時初めて、あーって思ったよ。あの時の検査はこのことを調べるものだったんだって。
だから彼は、本当の世界の色がどんなものなのか知らないんだよ。白と黒と明るさが解るけど、世界が白黒写真のように見えている。
ぱっと見にはどこも変わったことのない彼には、世界の鮮やかな輝きを見ることが出来ないんだってわかった時、ばあばの胸は、ズキンッてして、涙が浮かんできたよ。
丸顔のかわいい子で、他の科目の成績はトップクラスだったよ。ずっとその成績を維持して、高校は県内トップのところに入ったけど。今どうしてるのかね。ちょっと憧れてたよ、ちょっとだけね。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
生まれた時から様々なハンデを背負って、頑張ってる人たちがいるんですね。本当に大変でしょうけど、その努力が報われるといいですよね。




