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四十五夜、ばあばの中学生生活 9 お昼の発表と寿限無

今日は、ばあばの番です。

 眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?

 「・・・・・・」

 そうだねえ、じゃあ、ばあばが子供の頃のお話をしようかねえ。


 まだ、中学校の頃のことだけれど・・・

 この近所にはいろんな人が住んでるけれど、ばあばの通っていた学校にもいろんな人が居たさ。

 これも、或る日のことなのだけど、クラス担任の先生が言いだして、お昼の食事時にみんなで好きなことを発表しようってことになったんだよ。それで、名簿順にするか、席順にするかみんなで相談したんだよ。みんなあまり乗り気ではなかったのか、適当に席順でいいやってことになったよ。

 最初は何を話していいものやら、わからなくて、お正月の年初めの抱負みたいなことになってたんだよ。一人始めたら、もう前に倣えで考えることもなく抱負を話したり、希望や、目標を話したり。

 先生も何故かにこにこしてて、最初からこうなる事を見越してたんではないかって疑うほどだったよ。

 そんな中、日頃は目立たなくて、勉強もソコソコ、成績もソコソコ、運動もソコソコの人の順番になったんだよ。あーまた同じようなことが始まるか、って誰もがみんな思ってたさ。

 席を立って、黒板の前の教卓のところに行ったよ。さあ始まるぞ、早く終わんないかなー。でも、この人何を考えているんだろうか、何も考えていないようにも見えるけれど。なんて、みんなが少しだけの興味で見ていたさ。

 教卓の上に手をついてお辞儀をした後、彼は、これは図書館で見つけた本に載っていたものです、それをお話します。

「古典落語を一席、お耳に合いますれば良いのですが。」

 と切り出して、「寿限無」を始めたんだよ。

 本を開くこともなく、最初から最後まで、つっかえることもなかったかな、淡々と話して、話し終えた。

 みんな黙って聞いていたよ。

 話が終わっても、誰も拍手しなかった、どうしていいのかわからなかったのかね。しばらくして、担任の先生の顔を見ながらパラパラの拍手が起こったよ

 彼は、そんなことはお構いなく、教卓を降りて自分の席にもどり、次の授業の準備を始めたさ。

 みんな、それこそ茫然自失で、騒いでいいのやら、茶化していいのやら、わからなかったみたい。

 そして、教室を変えて次の授業が始まったよ。いつもの授業だったよ。

 そして、彼はいつもの通り目立たなくて、変わったこともなかった。

 さっきのは何だったの? いったい何が起こったの? 彼は誰?

 ばあばは真剣に悩んでたよ。


 おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。

大げさに言えば、人生、思ってもみないことが起きるものですね、ですか?

彼の心の中では、いろんなことが起きていたんでしょうけどね。

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