四十四夜、祖母の故郷へお墓参りに行く
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「・・・・・・」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、小学校の頃のことだけれど・・・
夏休みに、一緒に住んでる祖母と祖母の故郷に行くことになったんだよ。行く先は、栃木県。ついでに、途中東京にすんでいる祖母の妹のところによることも考えていたよ。
ところが、日程と、先方の都合で順序が逆になり、先に栃木の実家と墓参りを済ませ、それから東京によることになった。
実家には一泊して、帰るつもりだったけど、もっとゆっくりしていけってことで、二泊してそれから東京に向かうことになったよ。じいじにとっては初めてのところばかりで、物珍しかった。実家のすぐわきには小川が流れていて、小魚や、カエルや、ザリガニなんかがうじゃうじゃいたよ。きれいな水が流れていて、夜休んでいる時も流れる音が聞こえていた。
ところが、水のきれいな小川だったので、そこに住む蟲も多くて、じいじは知らないうちに手や足を蚋に刺されて、あちこちが腫れて、かゆくて、痛くて、大変なことになってしまったよ。蚋だけでなくて虻やそれに、湿気があるので、ムカデもたくさん出てきた。
とにかく、靴を履くときにはかならず踵をトントンやって、もしムカデがいてもちゃんと外に出してから履くようにしてたよ。そうでないと、履いた靴の中にいるムカデをふんずけて、ひどく刺されることになるからね。
お墓参りにもいったけど、じいじには飛びまわる虻のほうに気を取られてお参りどころではなくて、お線香の束をお供えして、早々に退散したってわけさ。本当に、こんなにもきれいな水のあるなしで虫の種類や数が替わるもんかとびっくりするやら、あきれるやら。正直、あまり来たくない所だと心密かに思ってたよ。
東京はやはり大きかったよ。今と比べることはできないけど、人は多いし、村にはないものがたくさんあった。村にはあって、東京にはないものもあったけど、自動車の多さにびっくりしたよ。じいじの村で見かけるのはオート三輪車がせいぜいだったけど、東京は三輪車なんかあまり見なかった。みんな四輪で、交差点には交通整理のおまわりさんが立ち、くるくる回りながら手を振り、交通整理をしていたよ。
二泊して帰ることになったけど、そこのお姉さんに、座布団やクッションにする、毛糸を編みつけて絵や模様を作る手芸を教えてもらって材料や編み棒をもらって帰ってきたよ。メッシュの台布?なんかももらって帰ったけどその後、どうしたんだっけね。全く覚えていないけど、あれ、作ったんだったっけかね。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
じいじの習ってきた手芸は何だったんでしょうか。私は手芸は得意ではないので、解りませんが、たぶん、メッシュの台布に毛糸を絨毯みたいに編みつけてそれで模様なんかを織りだすんじゃないかと思います。仕上げに編みつけた毛糸を切りそろえて、袋縫いすると綿を詰めればクションの出来上がり・・・じゃなかったのかな? 今もあります?これ。




