四百三十八夜、じいじの高校生生活 148 お母さんの家へ 15 出発
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「・・・・・・」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、高校生の頃のことだけれど・・・
じいじは日曜日からお母さんのところに出かけるべく、夏休みの課題を淡々と進めていく。と、言いたい所なんだけれど、なんとなくやる気がイマイチで、中学校の時から夏休みの課題に本気で取り組むのは夏休みも半分過ぎてからになってしまっている。小学校の時には絵日記でさえも作文していたくらいだから推して知るべしだよね。本格的に工作なんかに取り組むのは最後の一週間だと言うのはお手本にしてほしくないことの筆頭だから、決して真似をしないようにね。
そんなこんなでなんとか日曜日を迎えることになる。
さて、おばあちゃんとじいじは、いつもより少しばかり早起きをしてサッサと朝ご飯を済ませて、支度を始める。二人分の着替えとじいじたちの分のお土産物、そして、叔母さんから言づけられたお母さんの長女(じいじからは異父妹になる)への誕生祝いの品。その他細々としたものを、じいじが中学校の時に修学旅行に持って行ったボストンバッグに詰めておいたものを、もう一度中身を確認する。
それから、伯母さん達に挨拶をして、電車の時間に合わせてそれに間に合うように家を出発する。
今度は買い物に出た時と同じで、駅まで国道に沿った旧道の、大八車がやっと通れるくらいの脇道(大八車:もっぱら荷物を運ぶために使う木製の二輪車、この頃にはリアカーが主流になりつつあるけれど、平らな荷台の脇に大きなゴム製のタイヤが付いた車輪が付く、もちろんその前は木製車輪だった。梯子型の荷台に引き手が付いていて結構な長さがある。)(リアカーというのは大八車を改良した、鉄パイプで出来た骨組みに、箱型の荷台の両側に大きなゴムチューブを使ったタイヤが付いた車輪が付く。引手もパイプ製で、長さの割にたくさん荷物が積めて、取り回しが楽になっている。自転車の後ろに金具で取り付けて引っ張ることも出来る。)を辿って駅に向かう。途中で誰とも会うこともなく、駅前に着いた頃には、まもなく電車がやってくる時間になっている。
じいじはあまり電車を使って街には行ったことがない。小さなころにお母さんと一度、お母さんが再婚する前に義父になる人とともに動物園へ行った時に一度、高校受験の時滑り止めに私立高校の試験を受けに行った時、そして、ボーイス◯ウトの時に合同キャンプで行った時、くらいだろうかな?
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。




