四十三夜、ばあばの中学生生活 8 ちょっとだけ気になる人
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「・・・・・・」
そうだねえ、じゃあ、ばあばが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、中学校の頃のことだけれど・・・
ばあばはこの頃密かに憧れてる人がいてね、その人は徒歩で学校に来てたよ。ばあばは学校から離れてたので、電車通学だった。
電車が駅について、電車通学の人たちがぞろぞろ列を作って歩いてると、その人は後ろから追い抜いていくんだよ。ばあばたちは、ペチャクチャおしゃべりしながら歩いてるので、速くはないけど、そんなにゆっくり歩いてるわけじゃなかったんだよ。
それでも、後ろの方から、サッサって足音が近づいてきて、さーーっと追い抜かれるの。
最初は、何、あの人、って思ってた。でも、毎日毎日のことだから、そして、いつも同じような場所で追い抜かれるから、だんだん気になってね。
電車が遅れたり、ばあばたちが電車から降りるのが遅れて、遅くなっちゃうと先に行ちゃってたけど、大体は、同じようなところで追い抜かれてたよ。
そのうちに、他の人たちも噂するようになって、誰それとあいさつしてたとか、あの子が好きみたい、だとか。何年生で、どこのクラス、だとか、目立ってたからみんなも関心があったみたいね。
でも、何故かそこでは誰も声を掛けたり、挨拶したりしなくて、ばあばもそんな目立つところで挨拶したり、声を掛けたりできなくて、毎日、来た来た、って思ってただけだったよ。
噂ではどこかの誰かが告白したらしいけど、校内では一緒に居たり、話をしてたりなんかは見たことがなかったよ。なんか振られちゃったのかなって思ったけど、どうなったのかは噂にならなかったよ。大体、その話が本当にあったことなのか、ただの噂なのか、たちの悪いうわさ話だったのかわからなかったしね。
結局、毎日変わらず、後ろから近づいて来て、サッサと追い抜いていく。ただそれだけだったんだけどね。でも、ばあばにはなんとなく気になる人だったよ。
これって、憧れてるっていうのかね、なんかよくわからないけど、気にはなってたよ。
その人が卒業するまで、そのイベントは毎日続いたんだけど。なんだかね、何だったのかね。
もう、ばあばも、彼のことが気になってたほかの人たちも、あまりに目立つ彼氏に怖くて声が掛けられなかったのかもしれないね。ははは、いっしよに歩くときに、ゆっくり歩いてくれればいいのだけど、なんだか置いて行かれると悲しいものね。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
話を聞いてて、あまりに目立つ人に、声をかけるのは、かなり引いてしまいますよね、気持ち、よくわかります。声掛けしてほしくないときには、目立つってことも一つの手、ですか?
逆に、こっそりしてる人、かえってモテるのかも?




