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二百五十一夜、ばあばの洋裁学園生活 59 お母さんの話 1

今日は、ばあばの番です。

 眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?

「・・・・・・」

 そうだねえ、じゃあ、ばあばが子供の頃のお話をしようかねえ。


 まだ、洋裁学園の頃のことだけれど・・・

 ばあばのお父さんのことばかり話していると、ばあばのお母さんが機嫌悪くなっちゃうといけないよね。ちょうどいい機会だから、ばあばのお母さんのことも話しておくよ。

 ばあばにはお母さんが三人いるんだよ。ビックリした? 今までお話したことがなかったからね、それは仕方がないよね。

 最初のお母さんは、今までに話したように、ばあばのお父さんと一緒になってからしばらくしてから、体を壊して、病気になってしまったんだよ。どんな病気でも同じなのだろうけれど、急性の病気以外はいつとはなしに感染して、出たり引っ込んだり、ぐずぐず、ぐずぐずしているうちにひどくなっていくんだよね。特に、その頃肺病と言われた結核は特にそんな感じだったんだよ。

 ちゃんと食事をバランスよく摂って体に無理を重ねずに、養生しさえすれば急激に悪くなることはないんだよ。それこそおいしいものをきちんと食べてごろごろして、体力をつけていければ十分に治ってしまう病気だったさ。逆に、治っているように見えて、また無理をしたり、不摂生を重ねたりすると再発しやすい病気でもあるんだよ。それにこの病気は伝染病だから、畏れすぎることはないけれど、決して甘く見てはいけないよ。今でも、ちゃんと治療しないと亡くなってしまうことがあるんだからね。

 で、お母さんは、お父さんと結婚して、暫くしても子供が出来なかった。毎日忙しく働いていたお父さんのこともあって淋しかったのかも知れなかったね。それで、この頃、どこも生活が苦しくて子供がたくさん生まれた家庭は食うや食わずのところさえあったみたいだった。そんな家庭の一つだったところから生まれて間もない赤ちゃんをとりあえず預かって育てることにしたんだよ。それがばあばだったってことだよね。

 それからのばあばのことは前に話した通りなんだけどね。

 一つだけ話していなかったことがあったよ。それはね、ばあばがいくつになったころだったか、きれいな着物を着せられて家にいると、女の人と、その子供らしい人が訪ねてきたんだよね。ばあばは大体じっとしていることが苦手なので、一人でバタバタ暴れていたさ。

 二人はお茶菓子やお茶にさえ手をつけずに黙って座っていて、女の人がたまに一言、二言、話すぐらいで、帰って行ったよ。ばあばは気にも留めていなかったかな?


 おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。

ばあばの生い立ち、複雑だったんですね。

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