二千三百四夜、じいじの高校生生活 1081 三年生 36 二学期から 18
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、高校生の頃のことだけれど……。
「──……あのなあ……俺たちの仲間内では、今度の文化祭に、反戦の展示をしたいと、いま考えているんだよなあ……。
ただなあ……。反戦とはいっても、俺たちって、現状のことなんかをよく勉強をしてないのでなあ……。正直に言ってしまうと、どんなふうに反戦の主張を展示していいのかがよく分からないんだよ……。
ははは……ことここに至ってから、お前たちは何をしているんだ……って、馬鹿にされたり、非難されたとしてもしかたがないとは思っている……。
けれどなあ……反戦の主張の展示については、どうしても……この文化祭で実現したいんだよなあ……。
……おまえ……俺たちの展示に協力してくれないかなあ……。
形はどんなものでもいいんだ……。
反戦に関係することであるのならば、一般的なことから……今問題になっている現状に関することまで、書きたいこと、やりたいことを、目に見える形にしてほしいんだけれどなあ……。
その主張の展示物作成者の署名やらについては、しなくてもいいから……。
俺の知り合いになっている大学の活動家の何人かが、この学校の文化祭に、様子を見に来るかもしれない……。
その時に、そいつらがうざいことを言い出したとしても、それには俺や俺の仲間たちが対処をするからな……。……お前が正面には、いっさい出なくて構わないから……。
おまえは、言いたいこと、書きたいことを自由に主張して、表現してくれればいいのだから……。
……なあ……俺たちの反戦展示を……助けると思って……お前の力を貸してくれよ……なあ……。」
じいじは、H君たちが止むに止まれない気持ちから、この文化祭での反戦展示をしたいということに傾いていったということについては、よく理解ができていたと思う。
ただ、彼らが置かれている現状と、じいじが今立っている現状とでは、比べるまでもなく、じいじの方がより無関心の側に近いと、じいじは思ってしまった……。
「……今のところ僕は、今年の選択教科の音楽の合唱発表会に出ることくらいしか、この文化祭ですることがないので、できないことはないだろうとは思うんだ……。……けれどなあ……。
ただなあ……僕って、結構日和見的な立場にいると、みんなから思われているらしいので……。
僕が書いたものについて、責任を負えって言われてしまうと、まったくその自信が無いって言うか……逃げ出したくなってしまうって言うのか……。
……そんな無責任なことでも、H君たちはいいのかい……。
……それに……いざ書くとなると、かなり真剣に図書館で調べ物をしないといけないので……。
展示物ができ上がるのが、文化祭のぎりぎり近くになってしまうという可能性が大きくなるけれど……それでもいいのかい……。」
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




