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二千三百二夜、じいじの高校生生活 1080 三年生 35 二学期から 17

今日は、じいじの番です。

 眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?

「…………。」

 そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。


 まだ、高校生の頃のことだけれど……。

「──……起立……礼……。」

 じいじがおろおろとしながら、号令の声掛けをすると、担当教諭は、じろりとじいじのことを睨んだ後に、いつも通りに授業が開始された……。

 じいじは、心の底から思ったのだ……。

 ──ああ……。これから……毎日、毎日……一日六回……、これをずっと続けなくてはいけないのか……。

 ……これは、想像以上に強烈なストレスになりそうだよ……。

 ……明日にも、胃にあなが空きそうな気がするなあ……。それとも、十二指腸潰瘍かな……。

 そして……学校内は、次の学校行事である文化祭へ向かって動き出すことになった。

「……最近、俺なあ……何度か反戦デモに参加をしていてなあ……。

 ……ヘルメットを被って、タオルで覆面をした状態での、かなり激しいデモにも何度も参加をしているんだ……。

 それも、一度や二度ではなくってなあ……。それで、結構、大学生の活動家たちとも顔見知りになっているんだ……。

 この間のデモの際には、警察の鑑識だろう制服を着ているカメラマンみたいな人に、俺は何度もバシャバシャと写真を撮られている……。

 これはたぶん、警察の危険人物リストの資料の中には、俺の写真も含まれてしまっているのかもしれないよなあ……。」

 H君が突然話し掛けてきた。

 そういえば……じいじたちは、誘い合わせた四人で、夏休み中に一度だけ反戦デモに参加をしたことがあった。

 その時のデモは、非常におとなしいもので、行列の先頭に並ぶ人たちが自分たちの主張を描いた横断幕やプラカードを掲げて、その上で静かに行進をするだけだった。

 じいじたちも、大きな声で反戦の主張をするわけでもなかった……。

 じいじたちを含めたデモに参加をしたみんなは、ただ淡々と、デモと決起集会を主催していた団体の、全体の集合場所である公園まで歩いていっただけだった……。

 そして、決起集会が始まる前までには、じいじたちは、煮え切らない思いを抱いたままに、それぞれの家へと帰ってしまったのだった……。

 H君は、静かなデモ行進に参加をしたその後のいろいろな思いから、突き動かされるように激しいデモの中に身を置いたのだろうか……。

「……あのなあ……俺たちの仲間内では、今度の文化祭に、反戦の展示をしたいと、いま考えているんだよなあ……。

 ただなあ……。反戦とはいっても、俺たちって、現状のことなんかをよく勉強をしてないのでなあ……。正直に言ってしまうと、どんなふうに反戦の主張を展示していいのかがよく分からないんだよ……。」


 おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。

良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。

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