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二百二十九夜、ばあばの洋裁学園生活 48 家での話 3

今日は、ばあばの番です。

 眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?

「・・・・・・」

 そうだねえ、じゃあ、ばあばが子供の頃のお話をしようかねえ。


 まだ、洋裁学園の頃のことだけれど・・・

 ばあばたちはお父さんが釣ってきたお魚の刺身とアイナメやハゼの揚げ物を食べながら、今日あったことを話していた。

 ばあばがYさんのところに訪問したことはもちろん話したよ。お父さんの魚釣りの報告もね。

 Yさんのアパートのことや、妹さんが亡くなった時のいきさつなんかも憶えている限りは話してあげた。Yさんの話を聞きながら考えたことや、その時悲しかったこと。そして、Yさんの話の中でYさんが感じていたことをどんなふうに話してくれたのか。悲しくて、悔しくて、それがYさんのその後の進路を決めたことなど。

 けれど、いろんな理由でまだその決意が実現されていないことなんかもね。それから、ばあばが不思議に思っていた、なんでそれほど親しくないのにばあばをYさんの家に招いてくれたのかってことなんかも。

 お父さんも、お母さんも、Yさんの決意だとか、その実現がまだ達成されていない所なんかは黙って聞いてくれていた。そして最後に、二人ともが同じようにYさんに頑張ってもらいたいねって話を締めくくったさ。ばあばもやっぱりYさんには頑張ってほしかったし、諦めてほしくなかった。

 今は洋裁学園に通っているのだけれど、それでも、出来ることが何かあるような気がしていた。ばあばにはハッキリわからなかったけれど、このままばあばが考えているように、いい人が見つかったら結婚して家庭に入ってしまうのではなくて、少し違う生き方が出来るのではないかって感じていたよ。

 でもこれは、ばあばや他の人たちが考えるように簡単には出来ないことなのだろうし、今のYさんの感じている無力感?から抜け出すのはかなり大変なことなのだろうとも思う。

 だから、ばあばはYさんの家に訪問していろいろ感じたことを軽々しく他の人たちに話してしまうことは避けたいって思ったよ。特に秘密にすることはないのかもしれないけれど、少なくても、Yさんが話始めるまではばあばから話すことはしないと決めてた。

 そんなことを話しながら食事が終わって、お風呂にゆっくり浸かって、また明日からの洋裁学園の授業で頑張ろうって思ったさ。

 

 おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。

また新しい年が始まります。皆様もご自愛の上、良き年をお過ごしくださいませ。

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