二千二百二十五夜、ばあばの洋裁学園生活 1046 友達の家へ 24
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、ばあばが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、洋裁学園の頃のことだけれど……。
「──スタイル画一枚一枚に、背景まで一度に入れて描いていこうとすると、無理があると思うのよね……。何よりバランスがとり難くて描きにくいってこともあるだろうしねえ……。
そこで、背景画とスタイル画を別々に描いて、あらかじめ描いてある背景画の上に、スタイル画を乗っけてしまうという方法を取ると、だいぶん楽になるんじゃないかしら……。
それに、背景画も暇な時にいろんな場面を描き溜めておけば、組み合わせを考えるだけでいいわけだしね。イラスト自体も大きくグレードが上がると思うんだけれど……。
だいいち、イラストの仕上げ作業自体も、大幅に楽になると思うんだけれどなあ……。
それに、将来起業をして、スタイル部分と背景部分とを、別の人が担当する……というようなこともできるかもしれないしねえ……。
そうなったら、Ⅰさん自身も仕事の上でかなり楽になって、アイデアをゆっくりと考える余裕ができるだろうし……いいことずくめになるかもしれないよねえ……。」
Ⅰさんは、大きく目を開いて絶句しているようだった。
ばあばは、Ⅰさんのその表情が面白く感じて、つい微笑みを浮かべていたのかもしれない……。
「……あんた……なんでそんなに次から次へとポンポンと、イラストの技法のアイデアが出てくるのよ……。信じられないわよ……。
……あんた……何者なのよ……。」
Ⅰさんは、目を大きく開いたままでばあばに突き当たってくるようだった……。
「そ、そんな……私のことを怪物みたいなふうにいうような言い方はやめてよ……。
それに、こんなアイデアなんて、そんなに珍しいものではないはずよ……。
私がこの方法を知ったのも、テレビからだったのだから……。
これを使っている人たちだって隠していたわけじゃないんだからねえ……。この技法が特に貴重だというわけでもないんじゃないの……。
だって、漫画家の人たちは普通に使っているらしいんだからね……。
私が見たのだって、少年向けの漫画雑誌がどういうふうに制作されていくのかを特集していた、某テレビ番組だったんだよ……。
そこで出てきたアシスタントさんたちが、漫画の下絵を描いている場面で、この技法を使っているところを、私は見かけたんだから……。漫画家さんたちの世界では普通に使われていると思うけれどなあ……。
そこでは、背景画を描く人たちがいろんな資料を参考にして、主人公がいる場所場所の背景を描き起こしていたよ……。
そこに、主人公などのキャラクターの絵を切り抜いて、ペタペタ貼り付けていたのだから……。
その方法が面白くて、私は興味があって憶えていただけだからね……。」
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




