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二千百七十五夜、ばあばの洋裁学園生活 1021 おじいちゃんの来訪 141

今日は、ばあばの番です。

 眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?

「…………。」

 そうだねえ、じゃあ、ばあばが子供の頃のお話をしようかねえ。


 まだ、洋裁学園の頃のことだけれど……。

「──……失礼いたします……。こちらは、今日獲れたてのものでございますが……。またどちらかのお友達にご紹介をお願いしていただけることを期待いたしまして、サービスとしてお付けいたしますので……。

 ……よろしくお願いいたしますねえ……。

 ……あとは、握りずしとお吸い物でお料理は締めとなります。その時にはお声がけをお願いいたしますねえ……。

 ……ではごゆっくりとお楽しみくださいませ……。」

 大きなお皿に盛ってある鯛の姿作りを抱えながら、あらかじめ空けてあった真ん中の隙間にそれを置いて、オバサンは下がっていった……。

 それからばあばも含めて四人は、ワタリガニをきれいに食べ切るまでは言葉が少なくなってしまっていた。もちろん、お父さんは別にしても、お母さんとおじいちゃんは、ご機嫌になって騒がしくなるほどには、料理とお酒を堪能した様子だった……。

 ……そして、ばあばの家へと遊びに来たということになっていたおじいちゃんも、二週間余りのこの家への滞在を終えて、九州の自宅へと帰ることになった。

 九州の自宅には、おばあちゃんが一人で留守番をしているということなので、あまり長々と家を空けているわけにはいかないだろうという理由もあった……。

 もちろん、ばあばのお母さんは、おじいちゃんが自分の実の父親だということもあって、まだまだここへと居て欲しかったようだ……。

 大きな街のいろんなところや近くの観光地などへも、お母さんは自分で案内をして、おじいちゃんをまだまだあちらこちらへと連れて行ってあげたいと考えていたようだ。

 しかし、お母さん自身は、車の運転ができないこともあって、自由に動き回ることができなかった。だから、それらがお父さんのお仕事の予定次第になるのが、かなり不満なようだった。

 お父さんにしても、そう度々にわたって会社を休むわけにはいかないだろう……。

 お母さんに対して精一杯妥協をしたとして、それでも一週間ごとの日曜日くらいしか体を空けることなどできない相談だったのだろうと思う。

 それでも、ほとんど毎晩のように飲みかたを繰り返しているおじいちゃんに、お父さんは律儀にもお付き合いをしていたようなのだ……。

 けれども、ばあばまでそれにお付き合いをしていては、学園の課題を終わらせることなどできないのは明らかだった。

 それでも、夕食時にはその日の出来事を、おじいちゃんに軽く話して聞かせるくらいは、ばあばでも努力をしていたんだよ……。

 そして、次の日曜日に、ばあばたちはおじいちゃんを大きな街の中央駅までお見送りをすることになった。


 おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。

良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。

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