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二千百五十九夜、ばあばの洋裁学園生活 1013 おじいちゃんの来訪 133

今日は、ばあばの番です。

 眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?

「…………。」

 そうだねえ、じゃあ、ばあばが子供の頃のお話をしようかねえ。


 まだ、洋裁学園の頃のことだけれど……。

 ──ばあばとの会話が弾んでいて、二人の間で笑いがたびたび起きているようだったら、楽しいのに帰る時刻が迫ってきている……と受け取ってくれるのかもしれない。

 でも、今日の二人の状態は、Kさんがたくさん話をして、ばあばは聞き役になっている。

 そんな時に、盛んに時計を気にしている姿を見せられたら、早く帰りたいのに、時間が過ぎるのが遅くて気になって仕方がない……。そんなことをばあばが考えているのかもしれない……。と、そんなふうにKさんに受け止められてしまうのかもしれない……。

 それはあんまりよくないことになりそうで、ばあばは少し怖かった。

 また、Kさんが目に涙を浮かべて、変なことを言い出したら、ばあばはどうしたらいいのか分からなくなりそうだ。

「……あーさん、今日は家まで来てくれて本当にありがとう……。あーさんとたくさんお話ができて、すごく嬉しかったよ……。

 私は、学園でいつもみんなから誤解をされているようなのだけれど……。私は、本当のところ人見知りが激しくて、なかなか他人ひとと親しく話すことが苦手で、うまくできなかったの……。

 私はそれを他人に知られてしまうのが怖くて、精一杯背伸びをして頑張っていたの……。

 でもね、そんなことがいつまでも続けられることなんかできるわけがなかった。

 もうどうでもいいかなって思い始めた頃に、あーさんと話すことができて……。それからも時々お昼を一緒に食べたりできるようになってきたんだよね……。

 二人で並んでお昼ご飯を食べたからといっても、特に気を使うこともなかったし、無理に話すこともしてなかった……。

 でも、それが私にはすごく安心ができることだったの……。

 私がたまにあーさんのことを見ていて気が付いたのだけれど……。あーさんも、どこかで無理をしているのじゃないのかなあって……。

 毎朝、学園へと来られる時には楽しそうな表情をしているように感じました……。しかし、学園が終わって、お家へと帰られるときには、なんとなくですけれど、沈んでいるような表情がうかがえるように感じたのです……。

 はっきりとわかるほどではないのですけれど、どことなく元気がなくなっているような……。

 もちろん、学園での授業が大変で、疲れてしまっているのかもしれませんけれど……。

 でも……これからもう一度気合を入れ直して、頑張らなくてはいけないかのような……どこか張り詰めたようなところが見え隠れしているような気がしたのです。」


 おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。

良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。

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