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二千百四十八夜、じいじの高校生生活 1003 二年生 84 一学期 84 生徒会 61

今日は、じいじの番です。

 眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?

「…………。」

 そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。


 まだ、高校生の頃のことだけれど……。

 ──じいじは、焚火をそのままにして放っておくわけにもいかないので、燃え残りが無くなるまでは、あれこれと火の面倒を見ることにした。

 どうせ誰かがやらなければいけないことなのだ……。だから、じいじが他のすべてを放り出してでも、火のそばに居続けるのは許されることなのではないのかなあ……。

 じいじは、手前勝手なのかもしれないのだけれど、そんなことを適当に判断をした。

 結局、その作業は最後まで続けることになった。

 そして、焚火は最後まで燃え尽きて、正体不明のなにかがぶすぶすと音を立てているところまでになってから、じいじは、残り火がないようにたっぷりと水を掛けた。

 今度は遠慮なんか必要がない。確実に火種がないようにしておかなければならないのだ。

 その後、職員室へと焼却作業が済んだことを報告しに行った。

「……あなたでも真面目に働くんですねえ……。」

 現代国語の担当教諭のⅠ先生が声を掛けてきた。

 そりゃあ確かに、生徒会役員選出選挙では、コウヤクなど年寄りに任せておけばよい……などと言ったかもしれない。けれど、それは六か月も前のことだろう……。

 その後は、生徒会予算の編成にしても、校則の変更にしても、それに、夏休み中も毎日学校へと出てきて、生徒会の仕事をしてきたじゃないか……。

 じいじにもじいじなりに、主張をしたいことはあるんだよ……と、いくら先生相手であったとしても言いたいことぐらいはあるのだけれど……。

 今まで見ないふりをして黙っていたくせに、ここへ来て皮肉を言い出すなんて、どういうことなんだろうか……と、じいじは思った。

 いくら、生徒会顧問の先生方の一人だとは言え、ことここへ至っての皮肉っぽい言葉の発言には、納得ができないこともあるだろう……と、じいじでも思ったよ。

「……体中、燃えカスや灰だらけになっているから、宿直室にあるお風呂場で、水でも浴びて来なさい。タオルがないのだったら、これを使いなさい……。」

 Ⅰ先生は机の引き出しからタオルを引っ張り出して、じいじに向かって突き出してきた。

「……はい……。」

 じいじは、よほど酷い格好をしているんだろうかなあ……って思いながら、水浴びをしに宿直室へと歩いていった。

 この頃の学校の宿直室は……といっても、そんなに立派なものではなかった。

 昔から宿直室として使われていた建物なので、見た目も設備もかなり古い造りと設備だった。

 お風呂場は、正真正銘の五右衛門風呂で、同じ棟の中にあったのだけれど、風呂釜の焚口も、お風呂場への入り口も、土間を歩かなくては行くことができなかった。


 おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。

良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。

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