二千百四十三夜、ばあばの洋裁学園生活 1005 おじいちゃんの来訪 125
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、ばあばが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、洋裁学園の頃のことだけれど……。
──しかし、考えてみれば、本当に失礼な話だとは思うのだけれどねえ……。
いくら後々までものお付き合いについて予定をしていないからとはいっても、そのお相手の部屋にまでお邪魔をしている。
さらには、お昼ご飯まで家族と一緒にごちそうになって、今後のお付き合いのことも父母から言われていたわけなのだからねえ……。
いくら表面だけのお付き合いだからとは言っても、それでも程度があるのだろうかなって思った。
それに、もしも自分自身がそんな扱いを受けるのであれば、かなりの怒りの感情を懐くのではないのだろうかなあとも思う。
だからといって、それを彼女に正直に告白をして、許しを請うというのもなんだか違うような気がするしねえ……。
……うん、これは……恋愛での片思いの立場に似ているような気がするのだよねえ……。
好かれている方にとってみれば、ひたすら迷惑な話なだけなのだろうと思う。
けれど、好いている方にしてみれば、好きなものは仕方がないということになるのだろうかなあ……。相手から冷たくされればされるほど、なんだか意地でも好いてしまうというような、おかしな心理が働き始めるということなのだろうか……。
それに、好かれる方が、お相手を傷つけたくないなどという温い気持ちを持つものだから、余計に問題を複雑にしてしまうのかもしれない。
ちょうど、冷たくあしらっている人が、ほんのたまに優しくしてくれるものだから、諦めきれなくなってしまうのと同じような……。
今はこんな扱いをされているとしても、この先の自分の努力次第では、好いてもらえるようになるのかもしれない……という、淡いのだけれど希望が消えてなくならない……。
……こうして、弱い自分を隠すことなく縋りついてい続ければ、いつか彼の心の中にあるその優しさを、響かせることができるようになるのかもしれない……。
結局、ばあばの優柔不断な性格が災いをして、なんとかの生殺し……みたいな、そんな状態にでもなってしまっているのではないのだろうかとも思う。
でも……でもだよねえ……。
ばあばと彼女は女同士なのだけれど……。
それに、どう考えても、どう思い返しても、彼女の方が性格的には強かったのではないのかなあと思うのだけれど……。
それが……どこがどう間違ってしまったのだろうか……。
うっすらと目に涙を浮かべながら、家へ来て……と訴えるようになるくらいには、彼女は何故に可愛くなってしまったのだろうかと、ばあばは思う……。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




