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二千百四十二夜、じいじの高校生生活 1000 二年生 81 一学期 81 生徒会 58

今日は、じいじの番です。

 眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?

「…………。」

 そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。


 まだ、高校生の頃のことだけれど……。

 ──グランドの隅にはテントが一張りと、机が置かれていた。そこへ投稿がされた ” なにか ” が少しだけ手が加えられて、放送されるということらしい……。

 手を加えるとは言っても、悪口やら悪戯ごとのチェックと、実名などに対してネーム替えをするということが主だった。

 放送委員会委員たちが悪乗りをして、” 愛の告白メッセージ ” なるものを始めたのは予想外だった。

 さすがに実名を出すことはできないだろうということで、それは控えられていたようなのだけれどねえ……。

 投稿者名とそのお相手の名前などはきちんと伏せられていたので、多少のことについては我慢ができるだろうということだったのだけれどね……。

 しかし、心当たりの人と、詳しい裏事情を知っている人たちにとっては、その投稿者とお相手の正体が筒抜けだったのだろうかなあとも思う……。

 ……っていうことは、この企画を利用しようとする彼らが、本気で告白をしたいわけではなくて、恋愛やお付き合いをしている中でのちょっとした二人だけの刺激……程度に考えられていたのかなあとも、じいじは思う。

 いずれにしろ、放送部員たちの悪乗りだったということは、変わらない事実だったのだろうとは思うのだけれどねえ……。

 そして、すでにフォークダンスの音楽が流されているので、怪しい告白に爆笑をしながら、あちらこちらで手が繋がれて、ダンスの輪がつくられていった。

 じいじも、いつの間にかその輪の中へと取り込まれてしまっていた。

 じいじの隣には、同学年で家政科在籍の小柄だけれど可愛らしい女子が手をつないでいた。

 もともとはその女子を基点にして、長い弧を描いていたらしかった。たまたまじいじが、その辺をうろうろとしていたので、その女子が弧の中に取り込んだということだったらしい。

 じいじも、フォークダンスくらいは踊っていてもいいのかなってことで、しばらくは長い弧の中の一人として彼女たちの列に交じっていた。

 でも、じいじがふと気が付くと、長かった列は、なんだかいつの間にかバラバラに分解してしまっていたらしい。

 じいじと彼女が手をつないで、二人だけで他の人たちの輪から外れてしまっていたような……。

 彼女から、なんだか手汗が酷くなっちゃって……って言われたと思う……。

 それで、初めて周囲の状況に気が付いたじいじは、ひとりだけで取り残されてしまうことになる彼女の気持ちのことなどは考えもせずに、そこから逃げ出してしまっていた。


 おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。

良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。

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