十七夜、おばさんのボディガード
今日はばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「・・・・・・」
そうだねえ、じゃあ、ばあばが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、小学校に入ったばかりの頃のことだけれど・・・
おばさんが務めていた電話交換所では、深夜勤務があって、順番に、女性でも控室で仮眠することがあるんだよ。で、なんでばあばが関係あるかというと、おばさんと言っても、まだ二十歳を少し過ぎたところで、独身で、おとなしい人だった。だから、控室に一人でいるのは危ないってことで、どこまで役に立つのかわからないけれど、ばあばがくっついていってたってわけ。たった一人で、一晩いるよりも、子供が一緒にいることで、少しは気が紛れるし、ここにいるってことで少しは犯罪防止になるんじゃないかってことだったよ。
本当に役に立ったかどうかは別にして、電話交換っていうのは面白かったよ。電話がかかってくると、ピピピ・・・っていう音がして、そこに電気がつくので、ボタンを押して、どこにつなぐのか聞いて、そこのソケットに線を差し込む。今はもうそんなことはやってないけれど、その頃は、電話機の数も少なかったし、夜中に電話をかける人もきっと少なかったんだろうね。
電話機も、壁や、柱にかけてあって、横についているハンドルをくるくる回すと、交換所が呼び出されるもので、そこでどこどこにつないでくださいって頼むわけだよ。全部が全部人に頼んでつないでもらうので手間もかかるし、時間もかかる。呼び出してもらって、本人に繋がったら、掛けた人のところに呼び出しを入れて、それでやっと話ができることもあるんだよ。今からすればとんでもなく不便だったけど、その頃は、これが文明なわけさ。今から思えば笑っちゃうよね。
でも、それまでは、手紙か、はがき。急いで伝えるには、電報しかなかったから、それと比べれば、便利になったものだよね。電報が速いっていても、まず郵便局へ行って、原稿用紙みたいな書式に住所、名前を出す人、受ける人分書いて、次に、本文を書く、長いと料金が高くなるので、できるだけ短くしないといけなかった。それで、チェックして、今度は電信係の人がモールス信号で発信、受信した局で、今度は電報の書式に書きおこす。
それを電報配達の配達員が自転車で走って行って、本人に手渡すことで一応完了になる。とんでもないだろ?この手間ひまかけて、早いって言ってもその日の夕方か、次の日になったり、いろいろ。ほかには、伝える方法がなかったからね。
思えば遠くになりにけりって、言った人がいたけど、すっかり忘れられて、今では笑い話にもならないかもね。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
文明の発展は、科学の裏付けで、すごいことになっていますね。人間の智慧が、まったく追いついていないのでしょうかね。




