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十六夜、梅雨前のコメソ取りと秋のカイボリ

今日はじいじのお話です。

 眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?

 「・・・・・・」

 そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。


 まだ、小学校に入ったばかりのことだけれど・・・

 近所と言っても、かなり離れているので、それまで行ったことのなかったところに行くことになったんだよね。もちろん遊びに行くんだけど、じいじの子供のころ住んでいたのが、大きな川が流れていない所で、ため池がたくさん作ってあってね。ため池ってのは、田んぼでお米を作る時に、稲を植えて、育てるのに必ずたくさん必要になるお水を溜めておくための池なんだよ。種もみから、発芽させて、苗にするのにもたくさんいるんだけど、それを田んぼに植え付ける時、田んぼは、泥沼状態にしないといけなくて。そのために、たくさん雨の降る梅雨の時期に田植えをするのが昔は一般的だった。でも、収穫の時期に、大きな台風が来ると風で、稲が倒れて稲モミが水につかってしまうと、発芽してしまったり、乾かすのに時間がかかると、カビが生えて、政府に引き取ってもらえなくなったり、それはもう大変なことになる。

 なので、できるだけ早いうちに田植えをして、早く実らせて、台風なんかに遭わないうちに収穫できれば一番なんだ。だから、梅雨が来て、雨が降り、田んぼに水が溜まる前に何とか田植えや、代掻きを終わらせたいってのが農家の悲願なんだね。そこでどこでも、近くに川がない所は、農業用水のため池を作るんだ。

 で、そのため池の中でも、かなり大きい池が、近くにあった。そこは時期が来ると、鰻の幼魚、じいじたちは、コメソって呼んでいたけど、それを取りに行くことになったわけ。

 透明で、細くて、くねくね泳いで普通なかなか捕まらないんだけど、この時期はため池の排水口あたりを流れる水の量が、少なくなって、チョロチョロの上、さかのぼるコメソの量が多くなってきていたから頭数を揃えて、一気に集めようって魂胆だったらしいよ。

 結果? うん、その日はあんまりコメソが遡ってこなかったので、ちょっとだけしか集まらなかったよ。それでも、多少のお小遣いくらいにはなったみたいだよ。ウナギの稚魚っていうのは、その頃でも、結構高く売れていたみたいでね、取れた分、瓶に入れて持っていくと、漁業組合や、養殖業者が買い取ってくれてるらしいよ。分け前? そんなものはないよ、いつもの彼氏のことだから、なんだかんだ、グダグダにされて、いつの間にか忘れられるということになるんだよ。いつものことだよね。

 そうやって、みんなの手から逃れたコメソたちは、夏の間たくさん餌を食べて、大きくなるんだよ。で、秋になると、カイボリという池の水を抜いて、ごみや、底にたまった泥なんかを掃除するとき、集まった村のみんなを楽しませてくれるわけさ。みんな泥の中に入って、鯉や、フナ、大きくなったウナギや、それ等に混じってる蛇なんかと戯れて、一日中、大騒ぎするんだよ。この時ばかりは、大人も子供も一緒にわいわい、がやがや、泥まみれ。文句を言うのはお母さんと、若奥さんたち。大奥さんは、毎度のことだから諦めてるみたいでね。その日の晩御飯は、ちょっと泥臭いお魚の塩焼きや、煮つけになるんだろうね。

 おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。

この手のこと、今でもされてるところは残っているのでしょうかね。本当に楽しそうに話してくれましたが・・・。今問題になっている外来生物、その頃にはどうだったんですかね。みんな、おいしく食べられちゃってたのかも。

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